ペルー沖地震被災地支援募金:募金先プロジェクトの詳細について


ICAジャパン現地スタッフの方より、活動の進捗状況をお知らせいただくとともに現地の状況にあった計画変更のご提案を受けました。

私どもとしても一時的な支援としてだけでなく、コミュニティを支えるシードマネーとして今回の支援金が利用いただけるなら願ってもないことですので、変更に同意いたしました。

以下、スタッフの方からご提案をお寄せいただいた際に詳細な状況報告も合わせていただきましたので転載いたします。

—以下転載


12日にペルーに着き、早速活動を開始しております。今回もシェルター設置が主な活動ですが、裨益者を炊き出し所の利用者から選んでいます。この時期でも炊き出し所を利用しているのは被災者の中でも貧困度が高いであろうという考えからです。3月中旬までに1,800軒のシェルターを設置する予定です
 さて、ご送金いただきましたご寄付を実際に利用させていただきますが、ひとつご提案があります。
 去年と現在のプロジェクトに関わる炊き出し所は合計約150か所ございます。特に現在進行中のプロジェクトでは炊き出し所の持つプラス面を強調し、緊急時のみならず今後も継続していくことを推奨しています。これまで、お預かりしている募金の使い道として子供向けのミルクやオートミールを購入するとお伝えしていましたが、以下にご説明いたします持続性を考慮したミニプロジェクトを実施できないかと考えております。

 背景:8月15日の地震はチンチャアルタの多くの人々の住居を破壊する一方で被災者は収入源の少ない状況におかれました。このような状況で震災後すぐに現地政府は被災者に炊き出し所の形成を促し、その数はチンチャアルタ郡だけで500か所余りに上ります。震災後3カ月ほどは政府および国内外からの食糧の寄付がありましたが、現在はその多くが支援を取りやめたか近々取りやめる方向です。ICAはJapanPlatformを通じた日本政府の資金を利用し、同地域でシェルター設置を行うと同時に約150か所の炊き出し所に対し日よけ、ガスレンジ、鍋、その他調理器具の提供を行ってきました。
 震災から3カ月がたち緊急事態から脱するにつれ、炊き出し所に対する食糧支援はだんだんと無くなっていき、炊き出し所の中には食糧支援の終了とともに活動を停止するところも出てきました。今でも活動を続ける炊き出し所では、一日当たり平均1ドルの料金を徴収しています。我々事業の責任者は炊き出し所の持つ利点に気づき、できるだけ今後も活動を続けていけないかと考えています。
 炊き出し所の持つ利点:・特に子供に対して一日最低一回の温かな食事を提供できる・調理は持ち回りのため、女性の負担が減る・家での調理よりも栄養的にバランスのとれた食事になりやすい・1ドル(6食あたり)というコストは各自調理するより安い・女性の共同作業はコミュニティー形成に追い風となる・炊き出し所は容易にビジネスとして発展しうる

 提案:ICA事業においてカバーされる炊き出し所のうち今も毎日(月−金)活動している110か所あまりに100ソル(約34.50US$)のシードマネーを提供し、米や豆類などを卸売価格で購入できるようにします。ある意味自転車操業状態の炊き出し所においてはその日に必要な分しか買う資金がなく、それだけ高いコストを払っています。
 受益者になる条件は・過去2週間以上活動している炊き出し所であること・ICAスタッフとの会合に参加し、炊き出し所の利点について確認する・これから最低1年間活動していくという誓約書にサインするの3点です。
 ある意味、お金は食料を買うことに使われるということには変わりありませんが、短期の直接支援だけではなく継続していく可能性を持ったものになっています。各炊き出し所では全体責任者、購買係、会計係と各役職が現地政府に登録されており、今の時点でも無事に活動を続けている炊き出し所はその運営面でも信頼が置けると考えられます。このミニプロジェクトは現行のICAプロジェクトにプラスとなるばかりではなく、今後ICAが予定している小規模ビジネスの事業においても、女性たちが運営を続ける機会を持つという面でその下地となると期待します。
 よろしくお願いいたします。