地元伝統芸能を通したコミュニティ防災活動~準備編~


来たる2015年4月25日(土)、ムラピ山の村で、地元伝統芸能を通したコミュニティ防災活動の公演を行います。現在、その準備に奔走中です。ムラピ山は、伝統芸能の宝庫です。いまでも人々の生活に密着して存在しており、多くの人々に愛されています。
エフエムわいわいは、2012年10月からJICA草の根技術協力事業として、インドネシア・ジョグジャカルタの協力団体「Combine Resource Institution」ともに、ジャワ島中部のムラピ山の6村の住民、コミュニティラジオ局、村役場と協働しての防災活動に取り組んできました。防災の知恵と意識を高め、減災の方法を一緒に考えていこうという活動です。ムラピ火山を知り、火山と共に調和して生きていこうという取り組みでもあります。ムラピ山

ポスター


今回、ムラピ山に伝わる古くからの防災の知恵、今まで培ってきた防災の知識を、地元で育まれ、住民に愛されている伝統芸能の中に入れ込んだ、公演することで、防災の知恵と、災害時になすべきことを、ふだんのワークショップなどでは情報の届きにくい人たちにも、印象的に伝えていこうという取り組みをムラピ山麓の標高1,000メートルに位置するシドレジョ村で行なうことになりました。また、伝統芸能クトプラッとジャティランとのコラボレーションという初めての企画でもあります。80人ほどの村人が演じます。伝統芸能の中に防災が入ってくることで、防災の知恵が長く伝えられていくこと、このような活動が今後も自発的に続いていくことへの期待もあります。また、伝統芸能のさらなる発展にもつながると考えています。
当日は、多くの村人たちを含めて500人以上の人達が公演を鑑賞する予定です。シドレジョ村役場の災害時一時避難用の建物を完成を祝うという意味もあり、シドレジョ村役場を始め、多くの住民たち、地元コミュニティラジオ局リンタスムラピFMのスタッフの素晴らしい結束と惜しみない協働作業によって、この公演が可能となりました。
日時:2015年4月25日(土)
時間:19:00 ~ 終了まで(02:00ごろを予定しています。)
場所:Balai Desa Sidorejo,kec Kemalang, kab Klaten, Jawa tengahFM

地元の人たちと話し合って、今回は数ある地元伝統芸能の中でもジャティランとクトプラッ、そしてジャワガムランによる演奏を選びました。ジャティランはエネルギッシュな踊りと音楽と歌、そして華やかな衣装が特徴です。また、クトプラッは人気の大衆演劇のひとつです。ジャティランを選んだのは、実は私が個人的に大好きであることも大きな理由ですが、非常にインパクトが強いことがあります。ただ、踊りだけでは意味が伝わりにくいので、地元民に人気のある大衆演劇クトプラッで、いろいろ語ってもらいつつ、合間にジャティランを入れていくという、コラボレーションの形をとることになりました。クトプラッは、自由度の高い、即興の要素の強い演劇で、台本は、基本の話の流れがあるだけで、役者は自由にしゃべって話が進んでいきます。ですので、練習過程では、役者が役柄に合わせて、防災に関する知識を関係者にインタビューなどして十分理解していくことが科され、演者の間でも練習を通して防災への意識が高まってきました。ジャティランは災害時のさまざまな場面を踊りと歌で表現し、ジャワガムランはクトプラッ、ジャティランの伴奏を担当します。
練習(1)

練習(2)
はじめは小さなアイディアから始まったこの企画が、みんなの協力とアイディアでどんどん大きくなり、みるみるうちに形作られていくのを見るのは、私にとっては感動的であり、コミュニティの力の強さを改めて感じました。最初に考えていたより、かなり大きなイベントとなり、当日はどうなるのか不安な部分もありますが、みんなの力を信じて、楽しみたいと思います。
(岡戸香里)