「音源ライブラリ「長田今昔物語」」カテゴリーアーカイブ

「長田今昔ものがたり」第91話

第91話 幸正おじさん「ありがとう」(松の話) 2018年4月7日放送

「長田今昔物語」はここ1年半くらいの番組ですが、歴史といえば、FMわぃわぃの開局当時、ワダカンの叔父の和田幸正さんに、「郷土の歴史を歩く」という番組でご教示いただいたのが始まりです。1997年12月あたりから2007年まで10年ほど続きました。残念なことに幸正おじさんは、今年の1月19日にお亡くなりになりました。この91話はご教示を受けた和田幸正氏を追悼する放送です。2000年1月8日、年初にお送りした「松の話」、松の樹皮が「亀の甲」に似ていて「おめでたい」ことや、「松ヤニ」がでるので「建築資材にはむかない……」など、博識ぶりを堪能ください。


91話 幸正さん宅の「松」

「長田今昔ものがたり」第90話

第90話 お大師さんと霊泉(閑話休題) 2018年3月31日放送

井上さんなど須磨に住む人は、空海のことを「お大師さん」と親しげによび、この弘法大師が開いた霊泉や井戸を今も大切にしています。昭和13年の神戸大水害や平成7年の阪神大震災のときも、住民はこの水に助けられました。須磨寺にある「霊泉」、妙法寺にある「弘法の井戸」は湧き水で、須磨近辺がいかに「水」にめぐまれているかがわかります。さすがにいまは生水はだめですが、弘法大師さんが「杖」をもって立ち寄られる処に「泉」が湧いたと言われます。1200年もの歴史がある水です。「水のおかげ」、「自然のおかげ」を、須磨の水でわかしたコーヒーをのみながら感じとってください。


90話 須磨寺の弘法大師ゆかりの湧水
昭和30年代頃までは「こんこん」と水が湧き出ていて、近隣の人々ばかりでなく遠方の人々も多く利用していた。

「長田今昔ものがたり」第89話

第89話 清明節の中華義荘 2018年3月24日放送

明治維新、そして神戸開港から150年、北野界隈、外国人墓地や旧居留地に人の眼はゆくのですが、欧米人だけでなく、華僑などの「ひと」もたくさん神戸にきて今も活躍されています。華人、華僑のお墓が長田の滝谷町にあります。1870年宇治村(中山手7丁目)にできた中華義荘が、1924年に丸山に近い高台に移されました。二十四節気の「清明節」には、お国に「先祖と食事をともにする慣習」があり、桜の時期にはにぎわいます。広い墓地には、四川、北京、広東,広州、台湾などが出身地のお墓がならび、山側からは大陸に続く海を美しく見渡す絶景の地です。多文化の長田を感じてください。


89話 中華義荘

「長田今昔ものがたり」第88話

第88話 須磨の庶民信仰 2018年3月17日放送

下町は庶民の信仰があり、土地の人が集まる「講(こう)」がありました。江戸時代ころからでしょうか、西須磨の5つぐらいあった「講」の中に「大峰参り」がありました。女人禁制といわれた1915mの山に登ります。今もテレビなどで放映されていますが、絶壁につるされ、2~3名の人に両足だけ持たれ、「仏さんはよくみえるか」、「嫁さんは大事にするか」などの質問を受けます。「はい、大事にします」としか答えようのない修行です。他にも、京都などで行われる「六斎念仏法要」というのが須磨寺にあって、初盆の檀家を鐘や太鼓をたたいて回るほほえましい庶民信仰が、戦前まで残っていました。


88話 須磨の六斎念仏法要(須磨寺本堂、昭和30年8月15日)
戦前までは、毎年8月9日(九日盆)に須磨寺本堂に奉納、初盆新仏の檀家を回り、8月15日、納め六斎念仏を本堂にて打上げとなる。近年は途絶えてしまった。

「長田今昔ものがたり」第87話

第87話 暑さ寒さは彼岸まで 2018年3月10日放送

春分の日が3月21日。お彼岸にはワダカンは近所のお寺・宝満寺での法要を手伝います。2日間、朝から夕刻までずっとお寺にいます。境内をじっくりと見る機会でもあります。空海が唐より戻ったときに建てたお寺と言われています。山門には「福原西国二番霊場」石塔があり、江戸時代でしょうか、33ヶ所巡りが盛んだったことがわかります。この寺は、清盛が兵庫津(大輪田の泊)から東尻池に移しており、「福原内裏分石」も記念としてあります。尼崎藩の領地で、飢饉のとき助けてくれた青山幸利公への「謝恩碑」も残っています。墓地には元禄時代のお墓もあり、文化財いっぱいの寺、お彼岸などにご覧ください。


87話 宝満寺(長田区東尻池町2丁目)

「長田今昔ものがたり」第86話

第86話 ナドゥリはおでかけ 2018年3月3日放送

韓国・朝鮮語の「おでかけ」の意味をもつ「ナドゥリ」というスペース(カフェ・食堂・文化教室)が新長田駅ちかくにあります。震災(1995年)のおかげで、いろんな方と知り合いになれました。このスペースを運営されているキム・シニョンさんもその一人です。小学校(志里池)が同じで親しくしています。ご苦労の末、今は長田を基盤に活動され、戦前戦後の同胞の生活を写真で残そうとして、毎年写真展もされています。東京在住の金東鉉(キム・トウゲン)画家も、ときに来られ、近辺の朝鮮初級学校、新湊川、六間道、丸五市場を絵で残し、絵葉書にもなっています。長田では「おでかけ」気分で多彩な文化が味わえるのです。


86話 神戸長田の街角から新湊川、金東鉉画(ナドゥリ所蔵)