アジアの布の味わいかた

タイ・ヤオ族の刺繍の今

タイの山岳民族の女性たちの変化

2019年2月、チェンライから車で2時間程度行った山岳地域のソップ村を訪ねました。訪問した当日は旧暦の正月にあたり、ちょうど村ではにぎやかにお祭りが催されていました。年配の女性たちは細かな刺繍の施された衣装をまとっていました。年中暑いタイでも、かつてはこれが日常着とされていました。さぞかし暑くて農作業しにくかったのではと尋ねますと、寒い中国山岳地帯から移動してきた人々だったからとのことでした。

若い女性は刺繍を施した、いまどきの衣装をまとっています。これがなんともかわいらしい上着になっていました。

ソン村の女性たちの正装

ヤオ族の刺繍が施された今風の上着

刺繍の担い手は年配の女性中心

タイの好調な経済もあって、若い人はバンコクなど大都市部へ働きにでるのが普通になってきていました。そのため若い人はほとんど刺繍をしていないそうです。きけば、手間賃は1枚の刺繍で王室の財団に納めた布でも1200バーツ程度とのこと。これでは若い人のなかなか仕事としては成り立ちにくい状況かもしれません。

農作業の合間の手仕事として、今後どのように引き継がれていくのか、気になるところです。単なる仕事を越えた伝統刺繍の技と、生活を支える収入を得なければならない現実の中で、伝統の継承は厳しい状況に置かれています。

ソップ村でも高い刺繍技術をもつ女性

布の裏から針を刺す技法

タン村の女性たちの刺繍

ヤオ族の刺繍の製品はネット通販サイトBASEから手軽に購入できます。

(奈良雅美)