毎月第2金曜日「まちはイキイキきらめきタイム」の時間は、12時30分からは「技術のつくだ煮」今回は「おくすりこくり」の岸本豊彦さんです。


技術のつくだ煮:さくら工房3124 岸本さん

2014年7月11日、第2金曜日のまちはイキイキきらめきタイム「技術のつくだ煮」のゲストは、さくら工房3124の岸本さんです。

岸本さんは、片手でらくらく「おくすりこくり」を発明されました。15年ほど前に父親の介護をしていた母親が、父親が薬を飲む時に薬や水をこぼしたり、苦みを感じたりするので何かいい方法がないかと相談された事がきっかけです。

コップに水と薬を一緒に入れて飲む方法を考え、試作しました。最初の試作品は、プラスチックのコップに、錠剤を入れるポケット部分を取り付け、コップを傾けても水がコップ全体から出ないよう仕切り板を接着剤で固定させました。ポケット部の底にあけた穴からのみ水が通るようにしました(コップとポケット部が1体構造)。

試作品の問題点は、1体式のためコップの底の汚れをとるのが難しい構造であり、汚れると新たに作り直しが必要な事でした。その後、5年ほど前に母親がコップを必要になったのをきっかけに、汚れ防止のため洗浄可能なコップの開発を目指しました。コップと錠剤を入れるポケット部を分離することにしたが、ポケット部がコップにピタッとはまる材料探しに苦労しました。たまたま大きさの違う二つのコップのうち、大きいほうのコップの底の部分をポケット部に使うとよい事に気付きました。ポケット部は弁当についているソースの入れ物の下部を切り取り、底に穴をあけたものを利用しています。

試作品は配布した病院や近所の人に喜ばれたので、手作りではなく金型を作り製作することにしました。ネットで金型を試作してくれる会社を探し、ポケット部の金型を作りプラスチックで1000個作りました。製作のため1年分の小遣いを注ぎ込まれたそうです。出来た製品は必要とする方に配布しました。

福祉機器の展示会でPRしていた時に、長田区の明興産業の会長の目にとまり、存在理由のある商品は必ず受け入れられると言って商品化されることになりました。商品化に際しては当初錠剤服用コップと言っていたが、東北芸術工科大学の学生さんの支援を受けて「おくすりこくり」と命名されました。

もの作りにはずぶの素人の岸本さんが、個人で金型まで作っていい物をつくり、その甲斐があって商品化まで到達された長年の努力に敬意を表したいと思います。手の不自由な方、お年寄り、子どもさんにやさしいおくすりこくりの普及を祈念したいと思います。