2015年1月9日、まちはイキイキきらめきタイム、技術のつくだ煮


2015年1月9日、まちはイキイキきらめきタイム

教室兼工房「がらす庵」の吉田延泰さん

≪技術のつくだ煮≫
本日のゲストは、長田区久保町の教室兼工房「がらす庵」の吉田延泰さんです。
吉田さんは、近畿大学文芸学部芸術学科造形美術専攻のガラスゼミで勉強されました。吉田さんのガラス美術工芸品は、パート・ド・ヴェールという手法で制作されており、ガラスの練り粉という意味で、メソポタミア時代から伝わる技法です。作り方は、油粘土で型をとり、石膏どりし、油粘土を取り出し、そこに粒や粉のガラスを詰めて電気窯で焼いたものです。着色は金属を混ぜて発色させています。仕上げはダイヤのやすりで削り成形し、ガラスと膨張率の違う異物が混入すると割れるので気を使うそうです。

教室兼工房「がらす庵」の吉田延泰さん

作品は、器類とアート品で、オブジェを制作しています。持参頂いたオブジェの「顔」は背後にプレートがあり、プレートに穴をあけ、重力を利用して滴り落ち、つらら状に固まことで両者を繋いでいます。このオブジェは二つの関係性を重視したもので、人と物が影響を与えあっていることを表現したものです。作品のタイトルは「リレーション」です。作品「ぐい飲み」は「透明な花」というタイトルで、路地裏に咲いている花をイメージしています。記憶の中から掘り起こして作品にしており、表現を重要視して制作しています。

教室兼工房「がらす庵」の吉田延泰さん

今、芸術家が長田で生き残れる事を模索しています。このため震災20年の節目に「新長田アートコモンズ」という芸術祭を今秋開催することを計画しています。今後10年間を目途にアーティストが長田に集まり、住みたくなるような街づくりに挑戦していきたいと思っています。アーティストが住みたい街とは、外に向かってチャンスがある街、住みやすい街、刺激がある街、ネットワークづくりが出来る街ということです。長田は元々ものづくりの街で、芸術面では弱いが可能性は高く、そのような街を作っていくのは吉田さん達の世代と考えているそうです。ケミカルの街は一人ひとりが社長で、職人の街は一人ひとりがトップで、流れ作業ではなく一人ひとりが自分の城を持っている個人事業主であるので、アーティストと通じるものがあります。

1月10日より1ヶ月間開催予定の新長田アートプロジェクトの関連企画として、吉田さんの作品が路地裏で展示されます。2月は日本橋三越のグループ展に出展します。

最近長田にはアーティストが集まり始めています。吉田さんの仲間が新しい長田を目指し、地域の活性化にも繋がる色んな取り組みをされている事は地域にとって非常に素晴らしいことだと思います。住民の皆さんにも活動が浸透し、人が集まる長田になることを期待したいです。