G8レポート5「“もう1つ”の抗議の仕方」(AMARC取材チーム) 


【6月6日 ロストック=松浦哲郎、ラムナス・ブハット】

バングラデシュから参加したバンド、「バングラ」

バルト海に面したリゾート、ハイリゲンダムで、G8が6日から開催されています。会場の周辺には高さ2メートルを超えるフェンスがはりめぐらされ、一部のマスメディアを除いては、フェンスを越えて会場に近づくことができません。このフェンスは1キロあたり100万ユーロ(日本円でおよそ1億6千万円)かけてつくられているそうで、環境問題を主要テーマの一つとしてかかげた今回のサミットが終了したあと、このフェンスがどう処理されるのか、注目されています。


会場に続く道には多くの若者が集まり、道路に座り込むなどして道路の封鎖を試みています。フェンスに設けられた3つのゲートの封鎖も試みられ、そのうち2つは封鎖にされました。そのうちの一つでは、封鎖を試みる若者たちが到着する前に、その行方を警察が幾重にも隊列を組んで塞いだので、「実際には封鎖したのは若者ではなく、警察ではないか」、という皮肉たっぷりの冗談も度々聞かれました。

カラフルな旗を掲げてどこまでも続く平原を歩きゆっくりとゲートに向かう若者、道路に座り込んで音楽を演奏したりする若者などの姿が、本日の新聞の一面を賑わせていました。サミット参加のために訪れた首脳の多くは、空港からヘリコプターで会場入りしました。

ここロストックのキャンプからも多くの若者がフェンスそばへでかけていった影響で、今日のロストックの街ははがらんとしていました本日見かけた警察車両はたったの一台。28度まで気温が上昇した街では、半そでを着た地元の人々がカフェでくつろぐ姿が街のいたるところで見られました。

港に設けられたステージでは、様々な国から訪れたアーティストたちがかわるがわる演奏を行いました。そのうちの一つ、バングラデシュから参加したバンド、「バングラ」の演奏は人々のひときわ大きな拍手を浴びていました。

ヴォーカルをつとめるのは、バングラデシュの20代の女性、アヌシェ・アナディルさんです。「もっとも貧しい国といわれるバングラデシュの代表として、このイベントに参加しました。私たちのような貧困に苦しむ国の人々のために、このように大勢の人々が集まって行動してくれているのを見て、とてもうれしく思います。でも、警察との衝突などを見るのは悲しいですね。みなさんはバングラデシュと聞くと、その貧しさしか思い浮かばないかもしれませんが、私たちは歌や踊りが大好きで、特に女性は、私が今日ステージでみなさんに見ていただいたように、いつも歌ったり、踊ったりして楽しんでいるんですよ。そういう面も皆さんに知っていただけたらいいな、と思います」と話していました。

多くは非常に楽しい雰囲気で行われており、まるで一つのお祭りのようです。

明日にはG8の本格的な交渉が始まります。それにともなって、抗議活動も活発になることが予想されます。日本ではこちらのいわゆる「抗議行動」が、とても硬いイメージをもって伝えられているようですが、実際その多くは非常に楽しい雰囲気で行われており、まるで一つのお祭りのようです。ここインデペンデント・メディアセンターにも、幼稚園に通うような小さな子供を連れた若いお父さん、お母さんがたくさん訪れて、他の若者とテントやパラソルの下に座って、私たちが現地で放送しているラジオを聞いたり、オルタナティブ系の新聞を読んだりして、外が暗くなりはじめる午後の10時ごろまでのんびりとすごしています。

世界中から集まった30人とドイツ中の自由ラジオから集まった30人ほどの協働によるラジオ放送もいよいよ終盤を迎えます。

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