YYJournal 長田の視点 2020年3月第1回論説番組「徴用工裁判を人権の視点で見る」


FMYYは1995年1月17日の震災発災時、「すべての人々がこの社会の一員として同じ権利を有している」ということが、実は幻想であり、いろんな場面で声を上げにくい、声が届きにくい人々がいることの気づきから生まれました。
社会をより良いものにしていくための「うねり」を創るため、今回FMYYのできることの一つとして、YYJournal 長田の視点では、2020年3月から、人権に根差した社会を創るための気づきを共有するための論説番組を制作していきます。

2020年3月第1回目は「徴用工裁判から考える人権」
2020年1月発行の世界人権問題研究センター『GLOVE』に寄稿された六甲学生青年センター館長・NGO外国人救援ネット代表飛田雄一さんをお招きして話していただきました。

飛田さんの自己紹介、韓国・朝鮮半島との繋がり。
今回の話の論点「韓国人個人の請求権は残っている」
・「徴用工とは」
朝鮮人強制連行は、1939年から1945年まで募集・官斡旋・徴用の三つの段階で行われた。
・2018年10月30日の韓国大法院の「徴用工」判決。
徴用工として働いた人々が告訴→勝訴
安倍首相は、「彼ら4人は徴用工ではない」
日本政府の反応「国際法違反の韓国」とし、「請求できない」と反論したが、
それは日韓請求権協定だけでのことで、両国政府間でのはなし。
個人からの請求権を破棄するなどということは、国際的常識としてあり得ない。
かつ個人からの請求権は存在する「ある」ということは、日本の国会で、何度も日本政府の答弁、説明、発言は、として存在している。
衆議院
以下はその内容
■1991年8月27日、衆議院外務委員会 柳井俊二条約局長
「日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」
■(1992年3月9日、123回国会予算委員会 柳井俊二条約局長
「日韓両国間においては完全かつ最終的に解決を見たということで合意がなされたということでございます。ただ、いわゆる法律的な根拠に基づかない財産的な実体的な権利というもの以外の請求権については、これは請求権の放棄と申しますことの意味は、外交保護権の放棄ということでございますから、それを個人の当事者の方々が別途裁判所なりなんなりに提起をされる、そういうような地位までも否定するものではないということは、これまでもいろいろな機会に政府側として御答弁申し上げているとおりでございます」

上記が日本政府の立場→日韓条約で失効は韓国政府の日本政府への請求権。韓国人個人の請求権は消滅していない。という答弁。
この答弁の根底には、日本政府としての日本人シベリア抑留者のソ連に対する補償請求を行っている。。。という日本側の状況があった。
1956年日本政府の日ソ共同宣言がある。
政府間の補償要求はできない、が、「日本人個人」のソ連政府に対する請求権は消滅していない、個人でソ連政府に対して、シベリヤ抑留のその過酷な労働に対しての補償要求は日本政府としてと止めるわけにはいかない。なのでそれを日韓間に置き換えた答弁となった。

ではその後の立場は?
・2018年11月14日、第197回国会外務委員会 外務省国際法局長・三上正裕
「柳井局長の答弁を否定するつもりはございません。日本国内の法律をつくって、その実体的な財産、権利、利益については消滅させたわけです。しかし、請求権というのは、そういった財産、権利、利益のような実体的権利と違う潜在的な請求権ですから、それは国内法で消滅はさせられていないということを柳井局長は言ったと思います。/国内法で消滅させたのは、実体的な債権とか、もうその時点ではっきりしている財産、権利、利益の方でございまして、その時点で実体化していない、請求権というのは、いろいろな不法行為とか、裁判に行ってみなければわからないようなものも含まれるわけですので、そういったものについては、消滅はしていない。/したがって、最初に申し上げたように、権利自体は消滅していない。しかし、裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約したということだと思います。」
この答弁についてはYouTubeにアップされている。

■youtube
「共産党、 徴用工個人の請求権」で検索。

■記事
赤旗の記事に掲載
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-15/2018111501_03_1.html
衆議院該当ページ、政府公式回答
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a197049.htm