たかとりコミュニティセンター(TCC)は、神戸市長田区海運町にあるカトリックたかとり教会の中に位置しています。たくさんのNGO、NPO、地域、教会の楽しくて頼もしい仲間たちが自由に集まって、神戸長田の町を中心に、多文化で多彩で豊かなまちづくりひとづくりを目指して、ささやかですが大きな夢を持って一緒に歩んでいるところです。
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で、この地域はほとんどの建物が崩壊し、火災によって焼き尽くされてしまいました。教会の周辺一帯は一面の焼け野原になりました。 しかしそんな中でも、お互いに助け合い声をかけ合ってこの痛みを乗り切ろうと、地域の人々や多くのボランティアの人たちが夢を持って立ち上がりました。震災で多くのものを失いましたが、多くの人々との出会いが生まれ、新しい仲間もたくさんできてきました。こうしてTCCの前身であるたかとり救援基地が生まれました。
1927年にこの場所でフランス人によって教会がたてられました。下町情緒あふれる長田のまちにピッタリの、瓦屋根の長屋のような教会でした。長田のまちと同じく、韓国の人たちもたくさん集まってくる教会でした。韓国語を話すフランス人神父がいたこともありました。
戦争中、大空襲の時には、この教会に地域の人たちは避難してきました。ある人が、僕が逃げて隠れていた場所がなくなってしまって寂しくなると言われました。教会の敷地の四隅がこの震災後の区画整理で切り落とされた時のことです、思い出の隅っこだったのです。
1950年には教会に幼稚園ができました。地域の人たちにとっては、ここはもう単なる避難場ではなく、子どもたちの育ての場であり親たちの出会いの場となって行きました。卒園児たち大きくなり、今も地域の中で震災後のまちづくりひとづくりにしっかりと貢献しています。40年近く幼稚園は続きましたが、廃園になってからは、地域の人たちが近づけない、また単なる教会となってしまいました。
1980年には教会には新しい仲間が加わり始めました。難民として避難してきたベトナム人たちです。ベトナムが昔フランス領だったこともあるので、フランス人神父の目に留まったのです。初めは一家族だったのが、あっという間に親族や仲間たちが集まるようになり、ベトナム人の教会とまで言われるようになりました。
1993年には教会の庭にキリスト像が立ちました。台座には、ベトナム語、韓国語、日本語で「互いに愛し合いなさい」と聖書のことばが書かれてあり、共に暮らし、共に歩む、誓いのシンボルとなりました。違うことはお互いがしんどいことですが、なんと豊かなことかと実感し始めたことでした。違いは元気! がこの教会のキャッチフレーズです。
1995年に大震災が発生し、教会も潰れて燃えてしまいました。なので、今度は避難場になることができませんでした。ただ次の日からもうすでに、色々なところから見知らぬ人たちも見知った人たちもたくさん被災地にやってきて下さいました。そして、被災した教会で、救援活動の一つが始まりました。たかとり救援基地(鷹取教会救援基地)の始まりです。ボランティアの人、被災した地域の人や教会の人も一緒に活動を始めました。炊き出し、避難場支援、仮設支援、臨時診療所、ことば支援、生活支援、まちづくりなどなど。
救援活動は長くても3年で終わるはずでした。ところが、長田にたくさん住んでおられた高齢者の人々や外国籍の人々との関わりは、3年は終わりではなく、始まりであると知りました。それからも救援基地での活動は細分化されて行き、統廃合も繰り返し、きめ細やかな活動に進化していきました。
2000年には特定非営利活動法人たかとりコミュニティセンターとして、この地域社会の中で、誰であっても見捨てられることのない、まちづくりひとづくりを目指して歩み続けることの覚悟を決めました。1950年に教会内にできた幼稚園が、地域の人々のまちづくりひとづくりの役割の片隅を担ってきたことの後を継ぎ、半世紀後にもう一度思いを新たに、大人も子どもも一緒の幼稚園ができたような感じです。
老いも若きも、男も女も、多文化で、多国籍で、今日も新たに個性豊かなメンバーが加わり続ける、たかとりコミュニティセンターがここにあります。違いは元気!をモットーに歩んでいる私たちに、これからまた何かが生まれてくる予感がしませんか。。。