ボランティア活動に必要な 二種類の共感。 「他者への共感」と 「自分自身への共感」。
2010年4月のゲストは、長田区社会福祉協議会主事長谷部治さん
西條さんのFMわぃわぃでの番組に、震災時学生ボランティアだった長谷部さんが、長田区社会福祉協議会職員になったということで、ゲストととして向かえてから15年目。なんと本日が2回目の出会いとなりました。
ボランティアセンターで活躍中の長谷部さん。FMわぃわぃで番組を約7年、毎週火曜日に担当している。ボランティアセンターの番組で、区内の市民活動や、ボランティアに関わることの情報を提供している。災害の際、現地から電話で生中継したり、といったボランティア活動、市民活動をサポートするような番組にしたいと思っている。
長谷部さんは岐阜県出身。神戸に来たのは震災直後。震災のころは鹿児島経済大学に通っていた。震災の時は3年生。仲間と「何かできることはないか」と話し、1週間後くらいに神戸に来た。車にテントや炊事道具、介護用品一式を積んできた。長田区役所付近に8人用のテントを2つ張り、ボランティア活動をスタートした。15年前にしては用意が良かったが、それは鹿児島県の社会福祉協議会に相談し、「現地は水もなにもないので全て持って行く必要がる」との情報を得ていたから。現在は社会福祉協議会が現地のボランティアセンターをやる、相談の窓口をやる、などはほぼ決定事項だが、当時はそういう仕組みがまだなかった。
結局、大学の4年生のうち、3分の1くらいを神戸にいて、夏休みはマイカーで寝泊まりしながら滞在した。鹿児島と神戸を10数回往復した。
当時の具体的なボランティア活動の内容としては、
避難所から仮設住宅への引っ越しのコーディネーター。要望を聞いて、荷物の量を確認して、トラックを手配して、ボランティアさんに行ってもらって、人数わりをしたり、夏場はそういう作業が多かった。長くいる人は運営(コーディネーションなど)を担当した。現場を経験した上でコーディネーターすることは大事だし、災害時は現地に着けば情報が変わっていることもある。現地判断の大切さも伝えないといけない。
震災で神戸に来て、以来、神戸に住むことになった長谷川さん。大学卒業の時にたまたま、社会福祉協議会に入ることに。
ボランティアセンターがオープンした年に入った。ボランティア講座をし、ボランティアさんを集めて、活動を推進していくという団体。
一般的には、ボランティアは居住地の近くでやる場合が多いが、95年当時の神戸の担い手は地域外の人だった。なので、道案内をする必要があったりしたが、新潟でも佐用でも、事前にインターネットで道を調べてきてからくるなど、状況は変わってきている。
共感には2種類ある。1つは他者への共感。もう1つは自分自身への共感。その行為が自分の勉強や経験になる。どちらか一方に偏り過ぎていてもだめ。「行ってあげる」だけではだめで、その両面がないと上手くいかないことが多い。
震災後の神戸は「共感」をもう一度見直さないといけないと思っている。
通常のボランティア活動は「こんな活動をして欲しいと」紹介する時、共感を求める作業が存在している。
神戸の場合、そういう「共感」が当たり前のように思ってしまっている部分もあるので、問い直した方がいいと思っている。
他に大事なこととしては、感情として3つあるということ。
①共感(他者への共感、自分への共感)、②(活動内容の)理解、③納得
このことは、コーディネーターとして仕事を紹介する時は、依頼者の側にも活動者の側にも、説明をさぼってはいけないと思っている。
現在、長田のボランティアセンターとしては、住民から電話をもらって「助けが欲しい」という要望に答えるといった、一般的なケースの他に、ボランティアセンターから仕掛けていくような活動もある。団体と団体を紹介して、ネットワークを作ることなど。そうしたことを「目的別」にやっているのが長田の特徴だと思う。「こういう活動をしたいと思います」という「目的」でプロジェクトチームを作る。そうすることで普段だったら繋がらない職種の人が集まる。