2024年度FMわぃわぃ事業報告(2025年6月14日通常総会が開催され承認されました)


特定非営利活動法人エフエムわいわい 2024年度事業報告
◆総括(文中では特定非営利活動法人FMわいわいをFMYYと表現する)
 1995年阪神・淡路大震災発災から生まれたFMYYの理念「多文化共生のまちづくり、長田から世界へ」のスローガンは震災30年を翌年に迎える2024年度も多様な関係者と連携しながら、多文化共生社会づくりに向けた活動に取り組んでいくことに変わりはない。
今年度はJICA関西のペルー共和国リマ近郊カヤオ特別県ミペルー区及び周辺地域でJICA草の根技術協力事業「在日日系人が培った知識と経験を生かしたコミュニティ防災力強化事業」(2023年1月から5年間)が大きな成果を現地コミュニティで生みだしたことは喜ばしいことである。
この事業の始まりは2000年のラジオ時代から行っている毎週水曜日の番組「Latin-a」(「ひょうごラテンコミュニティ」の番組)である。この番組が伝え続けている「自分の命は自分で守る。そのためには自分が理解しやすい言語で伝えることが重要」という番組コンセプトは、震災の混乱時1995年1月30日の「ヨボセヨ〜(韓国・朝鮮語でのもしもし)」という呼びかけで始まった「違う言語を持つ人が共に暮らしている」という気づき、それに呼応している。そしてそれがネットという現代においては海を越え本国のリスナーまでにも届いたと言える。
 阪神・淡路大震災被災地から生まれた大切な「気づき」は、まちは一色ではなく数え切れないほどの違いを持った人々で構成されているということ、被災後の支援もそれぞれの違いに心を留め、一人ひとりに寄り添った対応が必要だというであった。FMYYが生まれたこともその「違い」の象徴であったと言える。
 長田区と共に実施している「多文化交流・共生促進のための地域共生コーディネート業務」は3年を経過し、独自事業で開始した日本語学校外国人留学生への食糧支援の事業と呼応し、定住外国人のみならず2年間の学校在籍という短期滞在の若者たちと顔の見える関係を築くことができた。彼らとの出会いの場を地域の人々と共有するというと取り組みへと進んでいる。
 2024年能登半島大地震に豪雨災害、2025年ミャンマーでの地震など数々の災害が続いた。また自然災害だけではなくウクライナ侵攻、シリア内戦、アフガニスタン紛争など心を痛めるニュースが毎日飛び交いその終息の気配は見えない。兵庫県においてはFMYYがその最初から「人々に寄り添う」ためのツールとして活用してきたメディア本来の「媒体」「媒介」の役目から逸脱した、姿を見せずに人を攻撃し情報操作をも可能なメディアの台頭はFMYYにとって大きな課題であった。社会の中に「多様性」や「寛容性」に対する共感を生み出すような番組制作や波及力に今ひとつ力の無さに歯痒さを実感した1年でもあった。
20250614_事業報告書