1月26日から2月2日まで、インドネシアからコミュニティラジオ関係者三名が大阪大学の協力で来日し、宮城県、福島県の臨時災害FM局を訪問しました。
来日したのは、メラピ山麓にあるLintas Merapi FM代表のSukimanさん(写真左)、インドネシア・コミュニティラジオ協会代表のSInamさん(写真中央)、そしてCOMBINE Resource Institution理事のImamさん(写真右)の三名です。一行は1月26日に関西国際空港に到着し、その日の夕方に仙台空港に飛びました。ちょうど仙台は雪が降っていて、熱帯のインドネシアから来た三名は始めて見る雪に大喜びで、気温差三十度もなんのそのでした。
翌27日から28日にかけて、宮城県名取市の臨時災害FM局「なとラジ801」、宮城県山元町の臨時災害FM局「りんごラジオ」、福島県富岡町の臨時災害FM局「おだいがさまFM」、福島県南相馬市の臨時災害FM局「南相馬ひばりエフエム」の四局を訪問し、臨時災害FM局を運営している方々と意見交換を行いました。
日本とインドネシアは、災害が多いことと、コミュニティラジオが多いことが共通点があります。来日した三名は、2004年のインド洋津波の被災地(アチェ)、2009年の西スマトラ地震の被災地(パダン)、2006年・2010年のメラピ火山の被災地で災害ラジオ局の立ち上げ、運営の経験を有していることから、日本の臨時災害放送局の制度や運営実態などについて、じっくりと話を聞くことができました。とくに原子力発電所の被害を受けている福島では、仮設住宅に避難している被災者に直接、お話を伺う機会を持ちました。
臨時災害FM局の視察の後に、「行政と住民が協力して災害エフエムを運営している日本の事例を、インドネシアに是非、持ち帰りたい」とインドネシア・コミュニティラジオ協会代表のSinamさんは力強く話してくれました。インドネシアには臨時災害放送局の制度はなく、臨時災害放送局の制度化に向けインドネシア政府と交渉に向け動き始めるそうです。そして、帰国の前日に、インドネシアのスマトラ島北部で2013年9月から断続的に噴火が続いているシナブン山(Mt. Sinabung)が大噴火し、15名が亡くなりました。計らずも、インドネシア・コミュニティラジオ協会が政府に対してシナブン火山の被災地に災害ラジオ局を立ち上げるための免許交付を要請することになりました。(日比野純一)