災害時にコミュニティラジオが伝える情報が、被災地の人々が災害を生き抜いていく上で非常に重要なことは、インドネシアでも日本でも変わりません。
このメラピ山麓のコミュニティラジオ局は、Jalin Merapi(メラピ山情報ネットワーク)というネットワーク組織を作って、2006年、2010年の火山噴火時に互いに協力し合いながら災害情報の収集および提供にあたりました。
このメラピ山麓にあるコミュニティラジオ局をより力強くしていくことは、私達の活動の大きなの目的の一つです。
4月、5月にそれぞれのラジオ局で問題分析を行い、共通する課題がいくつか見えてきました。その一つが、村の中での電波の受信状況があまり良くないことです。例えば、ラジオ局の送信アンテナに雷が落ちてから村の中で聴きにくくなってしまったとか、送信機がどうも不調気味とか、理由はそれぞれですが、災害情報や防災情報をより多くの村人がラジオから受け取るためには、その問題を解決することがとても重要です。
そこで、7月はラジオ技術に詳しい専門家と一緒に村のコミュニティラジオ局を一局ずつ訪れて、問題解決にトライしています。
どんな内容なのか、、、
まずは放送するにあたって気をつけることをしっかり学ぶ。
例えば、放送機器は最低でも月に2回は掃除をして埃を取る、スタジオには土足で入らないようにする、放送機材のそばで飲食をしたり、タバコを吸わない、といった内容です。いずれのラジオ局のスタッフも苦笑いしながら、でも真剣に聞いています。
そして、送信機の出力チェック、送信機とアンテナとの適合チェックなど、ハードのメンテナンスを送信機のメンテナンスをラジオ局のスタッフと一緒にやります。MMC FMでは、ラジオ局舎の横の鉄塔の上にラジオ局の一人がするするっと登ってアンテナを下ろして、送信機のパワーがアンテナにうまく乗るように修繕作業を行いました。
専門家の診断の結果、ケーブルが細すぎて送信機からアンテナに電波が伝わっていく途中に大きくロスが出てしまうこと、アンテナが適切な位置に立てられていないこと、アンテナが指向性でないこと、の三点がおおむね電波状況がよくない原因です。
それを、それぞれのラジオ局がどうやって解決していくか。買い替えれば済むことと一口に言っても、そのためには資金が必要になります。アンテナとケーブルの購入には150万ルピア(約1万5千円)必要です。まずは資金調達からです。
メラピ山麓のコミュニティラジオ局は9月から防災番組の制作をはじめ、年に一回、番組コンテストを開催することになっています。アンテナとケーブルの一部をその賞品にしよう、というアイデアがいま出ています。ただいま募金中です!日本からもOKです!!
(日比野純一)