ハイチとカトリック教会、そしてラジオ局(被災地レポート4)


繰り返しなりますが、ハイチの地震被害は想像を絶するほどの規模です。全壊した大統領府とカテドラル(大聖堂)に行きました。ハイチのカトリック教会大司教さんはここでなくなりました。ハイチは人口の6割がカトリック信徒で、地縁組織がないため、コミュニティにおいてカトリック教会が果たす役割は非常に大きいものがあります。地震からのコミュニティ再建は教会の存在抜きには考えられません。今回の地震で相当数の教会が全壊してしまいましたが、日曜日には瓦礫の前や空き地でミサが開かれ、たくさんの信徒が集っています。


先週末にカリタス・ハイチ代表のサージ司祭に会いました。日本を出発する直前に神田裕神父(FMわぃわぃ会長)にカリタス・ジャパン経由で紹介メールを入れてもらっていたのです。
欧米を中心にそれぞれの国のカリタスが直接、支援に入っていて、それをコーディネートする役割をカリタス・ハイチが果たしています。5月中旬までに緊急活動が終わり、次は11月までの救援期の活動に入るそうです。

カリタス・ジャパンは現地での直接支援はせずに、カリタス・インターナショナルに日本で集めた募金を送っています。サージ司祭にそう伝えると「直接、カリタス・ハイチと活動ができるので。もし可能になったらいつでも連絡をください、と伝えてください」と私の目を見て、ゆっくり、そして力づよく答えが返ってきました。

サージ司祭は、すごい大きな執務室のこれまた大きな机の向こうで、こちらの要請に迅速に電話で対応して、いろいろな方を紹介してくれました。
その中の一人が、コミュニケーション担当のジーン神父さんです。この神父さんは、とっても気さくでフットワークが軽くて一緒に町を歩いていても、いろいろな人に笑顔で声をかけて、車を運転して知人をみつけると、途中まで乗って行かないかと笑顔で誘います。なんか、ハイチの神田神父さんみたいで、非常に親しみを持てました。カトリックのラジオ局の代表もやっているので、尚更です。
AMARCハイチの代表のこともよく知っていてこの神父さんとなら何か一緒にできる感じがしました。

そのラジオ局「Radio Tele Soleil」は、地震で全壊してしまって、いまは壊れた教会の庭にある半分潰れたワゴン車中に放送機材を積んで、その中の狭苦しい空間で朝の5時から晩の11時まで放送していました。若い放送スタッフ2人は庭でテント生活をしています。

ハイチの放送制度は、商業ラジオ、コミュニティラジオ、非業業放送の三種類あり、非商業ラジオはさらに公共ラジオと宗教ラジオに分かれます。Radio Tele Soleilは非商業放送(宗教)のカテゴリーに分類されるカトリック教会が運営するラジオ局です。

ジーン神父さんの後をついていろいろか人を紹介してもらっていると、たかとり救援基地時代の神田さんの姿とだぶりました。阪神淡路大震災の被災地の神父とハイチ大地震の被災地の神父。この二人の神父さんをなんとかしてつなぎたいと思いました。
(つづく)