去る8月13日、ムラピ山麓のケプハルジョ村の幼稚園で、子供たちの防災ワークショップを行いました。この幼稚園はムラピ山頂から7キロ地点の川沿いにあり、最も警戒度の高い災害警戒区域の中に位置します。防災の知識が非常に必要とされている地域ですが、幼稚園児への防災教育はこれまで行われたことがありませんでした。ワークショップは4~5歳児45人と先生たちが参加し、作成し終わったばかりの防災カードと、新しくデザインしてもらった防災のゲームを使って行われました。ゲームは「へびとはしご」、すごろくの一種です。
ワークショップの初めから、スムーズには進みませんでした。まず、私たちスタッフが到着して子どもたちに会ったとたん、知らない人たちが来たということでひとりの子どもが泣きはじめ、それにつられてほとんどすべての子どもたちが泣き始めてしまいました。やっとのことで子ども達が泣き止んだ後、ワークショップが始まり、幼稚園の先生が防災カードをつかって、この地域に起こりうる災害について話し始めましたが、子どもたちは集中できず騒ぐのみ。幼い子供たちなので仕方ないですね…。
防災カードは、表面に災害の絵、裏面にその時に起こすべきアクションが書かれています。たとえば、川から離れて、口と鼻をマスクでふさぎ、あらかじめ決められた安全な場所に避難するなどです。これは、子どもたちも実際にやってみました。川から離れる場面で、ものすごく遠くまで走っていってしまったり、子どもらしいやんちゃな行動は多々起こりましたが、楽しんだようです。
おやつ休憩の後は、みんなで、地震の歌(地震が起こった時にすべきことを歌にしたもの)を歌った後、すごろくゲーム。これは、防災の知識が自然と身に着くようにデザインされています。また、大きなシートにプリントされており、子ども自身がコマとなって動けるようになっています。たとえば、9番の目では、降灰のイメージ、マスク、傘のマークが描かれており、子どもはマスクと傘を持って9番目の目に立つことになります。また、溶岩流の近くの目に当たった子どもは、違う目に飛んで溶岩流を避けることもできます。ただし、ゲーム中、子供たちははしゃぎすぎてほぼコントロール不能に…。
子どもたちがこのワークショップで楽しんでいた様子は間違いありません。先生たちには、子どもたちに防災のことを教えるツールを伝えられたと思いますし、子どもたちにもきっと楽しんで経験することで、身体で感じたことを感じ取ってもらったはずだと期待しています。
(岡戸香里)