皆さま、こんにちは。7月22日の記事でも少しご紹介しましたが、メラピ山麓のコミュニティラジオ局は、Jalin Merapi(メラピ山情報ネットワーク)という、ボランティアで運営されているネットワーク組織があります。このJalin Merapiは、2006年に3つのコミュニティラジオ局によって立ち上げられました。2010年の火山噴火後には新たに2つのラジオ局が立ち上がり、5つのラジオ局によって情報を軸にした救援活動が展開されました。その後もメラピ山麓のラジオ局の数が増えて現在は、8つのコミュニティラジオ局が互いに協力し合いながら災害情報の収集および提供を行っています。また、我々のカウンターパートであるCombineや地元NGO団体、様々な研究者、専門家がJalin Merapiの活動に参加しています。マスメディアでは伝えられない生きた情報を、火山研究機関や地元NGO等と連携しながら、地域社会のために自ら発信していくことがJalin Merapiがもっとも大切にしている活動理念です。
Jalin Merapiの活動は、コミュニティラジオ局としてそれぞれの地域で、メラピ山における災害情報を提供するだけでなく、3カ月に1度定例会を開き、メンバーである8局が互いに情報交換をし、共通課題の解決や放送以外の防災活動について討議しています。私たちもFMわいわいとしてメラピ山麓でのプログラム開始以来、毎回会議に参加し、私たちの活動の進捗や計画についても協議しています。
Jalin Merapiの大きな特徴の一つは、メラピ山麓地域と外部を繋ぐためのメディアミックス活動です。例えば、携帯電話のSMS、アマチュア無線に加え、近年利用者が拡大しているFacebook、twitterを使用し、国内だけに留まらず海外にも活動情報を提供し、2010年のメラピ山噴火時は、被災地から外部への貴重な情報源となりました。ソーシャルメディアを通してたくさんの救援ボランティアや救援物資が被災地に入りました。このように、情報発信を工夫しながら活動を続けてきたことにより、現在ではtwitterのフォロワーが5万5千人を超えているそうです!
そして、地元の地域社会に留まらず、世界でもその活動が注目されており、今年の7月にはJalin Merapiの代表のスキマンさんが国連の会議に出席し、メラピ山情報ネットワークについてプレゼンテーションをしました。この10月18日~23日には、Combineのスタッフであるジョヨさんが日本を訪問し、京都で開催される人の安全に関する国際会議にて、メラピ山地域のコミュニティやラジオ局、Jalin Merapiの活動について話をする予定です。また、ジョヨさんは滞在中に、たかとりコミュニティセンターも訪問する予定です。ボランティアで運営されているメラピ山麓のコミュニティラジオ局が、さらに自分たちのネットワークを構築し活動を進めているのは、本当に良いコミュニティ活動のモデルだなと感じます。