中南米のコミュニティラジオを巡る旅(1)


アイマラ族のラジオコパカバーナで集合写真

FMわぃわぃの日比野純一です。2月17日から3週間ほど調査のためにアメリカ、メキシコ、コロンビア、ボリビアとアメリカ大陸を回って、3月9日に帰ってきました。今回は旅をしながらの現地レポートができませんでしたので、今日から旅の報告をしていきます。


連載「中南米のコミュニティラジオを巡る旅」
第1回 旅のプロローグ

ボリビアの首都ラパス(憲法上の首都はスクレにある)から、煉瓦づくり家が急傾斜な土地にへばりつくように建ち並ぶあいだを車で15分ほど走ると、標高4100メートルの町、エルアルトに着く。ここには、ボリビアの地方から移り住んで来たアイマラ族の人々、ケチュア族の人々、そしてペルーから移住してきた人々など90万人が集住しています。ラパスとはまったく町並みが異なり、人々の暮らしはラパスに比べると明らかに豊かではない。今日(3月6 日)はこの町ができて23周年の記念フェスティバルが開かれていて、アイマラ族のモラレス大統領ほか政府の要人も記念式典に参加しています。

今回、中南米へ出かけることになったのは、一年半前にヨルダンのアンマンで開かれたAMARC(世界コミュニティラジオ放送連盟)の第9回世界大会でこの町から参加していたアイマラ族のフリアさんと出会い、コミュニティラジオがボリビアの先住民の運動から始まったことを教えてもらったことが、そもそものきっかけです。3週間にわたる中南米の旅の最後の日に、彼女が働いているNGO、エコホベセスを訪ねることができました。

60年前にボリビアで生まれ、いまも他の地域より社会的に大きな力を持っているラテンアメリカのコミュニティラジオ。とくに先住民が失われつつある自らの文化と言葉を次世代に伝えていくためのコミュニケーションの手段として、それは特に重要なものとなっています。AMARC世界大会でもそれは随所に感じることができたのですが、実際に彼らの現場を訪れ、その活動を肌で感じて学びたい、そしてそれを日本のコミュニティラジオの運動強化につなげていきたい、とその時に強く思ったのです。それも私一人ではなく、日本の先住民族アイヌのラジオ局を運営する萱野志郎さんと震災前からラテンアメリカ一筋のFM わぃわぃ多言語番組プロデューサーの吉富志津代の二人ととともに。

ヨルダンから帰国後、その熱意を龍谷大学の松浦さと子さんに何度も伝え、非営利放送研究会(私も研究員の一人なんです)の研究調査として今回のラテンアメリカ訪問となりました。
 
2月17日に吉富志津代とともに日本を発ち、アメリカを経由してメキシコを周
り、続くコロンビアで萱野志朗さんと合流しボリビアまでの旅を、不定期ですがこれからレポートしていきます。
(つづく)
(文責:日比野純一)

なお、吉富の旅日記はすでに次のブログにアップされています。
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