去る10月1日から11日まで、ムラピ山のコミュニティラジオネットワーク、ジャリン・ムラピの代表3人とエフエムわいわいの現地協力団体コンバインの職員1人を招いて、有珠山(北海道)と神戸で研修を行いました。そのうち二人は初海外で飛行機に乗るのも初めての経験。ちょっと心配しましたが、大きな問題もなくとても楽しい研修でした。
有珠山では、洞爺湖有珠火山マイスターネットワークの関係者の方たちと、フォーラムを行い、有珠山とムラピ山の火山防災に関する知識と経験の共有を行いました。さらに、火山マイスターの方たちの案内で、いくつかの有珠山周辺の火山遺構を巡りました。同じ火山とはいえ、ムラピ山と有珠山では火山の性質が違い、新山が次々できたり、道の真ん中に火口が開いたり、大きな地殻変動があり、そこに多くの人々が住んでいるのは、ムラピ山からのゲストにとっても私にとっても驚きでした。また、被災地観光に関しても、防災を学べる場として、行政とコミュニティが協働で火山マイスターのシステムを作り上げているのが、とても素晴らしいと感心していました。住民の経済的復興の上でも参考になったようです。
昭和新山の資料館である三松正夫記念館では災害の記録を取ることの重要さを学びました。有珠火山の防災に尽力され、大きな功績のある北海道大学の岡田弘名誉教授も現地研修に同行していただき、懇親会でも火山と防災談義に花が咲き、いろいろ学びました。訪問した有珠山地域に今年4月に開局した地元コミュニティラジオ局wi-radioは、行政によって資金が全面サポートされているのもインドネシアではありえないと、ムラピ山からのゲストにとっては驚きだったようです。
神戸では、20年前の阪神淡路大震災で被災した長田エリアを歩き、コミュニティの方たちと交流しました。とくに、震災後、コミュニティと行政が話し合い、災害に強いまちづくりを進めていった過程に感心しました。また、神戸アーカイブ写真館、商店街での取り組みなどが印象に残っています。また、たかとりコミュニティセンターでは、エフエムわぃわぃの生放送にゲスト出演した後、インドネシアからの4人それぞれの、防災やコミュニティ活動に関する発表が行われ、出席してくれた多くの人に彼らがムラピ山で培ってきた防災の知恵をシェアしました。
日本では、コミュニティと行政が協働しての災害からの復興、行政が行き届かない部分はコミュニティがその穴を埋めるような活動を行い、それに対する行政のサポートが多少なりともあるということが、インドネシアからの4人にはとても印象的だったようです。インドネシアではまだまだ行政とコミュニティとの連携がすすんでいません。また、災害やその復興の道のり、コミュニティの記録を取り、それをアーカイブすることの重要さを痛感したようです。インドネシアにもどり、彼らはすぐに日本で学んだことを生かそうと、行動を始めています。
(岡戸香里)