メラピ山麓にあるコミュニティラジオ局は晩に生放送をすることがほとんどです。2001年に放送局が開設され、以来、12年に渡って活動を続けているシドロジョ村(標高1200メートル)のコミュニティラジオ局Lintas MerapiFMは毎週一回、村の住民達で構成されるガムラン・グループの演奏をスタジオの横の大広間から生中継しています。
夕方16時頃から三々五々、村人が集まりはじめ、17時には20人ほどが揃い、ガムランをはじめジャワの伝統楽器による演奏と唄が始まります。そして同時にラジオの生中継もスタートします。
演奏される曲目は、メラピ山のことだったり、今年の野菜の収穫のことだったり、断食月のことだったり、と村の生活と文化に密着したもので、作詞は村人に手によるものです。
曲の合間にはリスナーから届いたSMSを、番組進行役のスタッフが紹介し、楽団のメンバーにマイクをふり、リスナーとの交流が行われる。私もLintas Merapi FM代表のSukimanさんの誘いを受けて、曲の合間に番組に参加させてもらいました。コミュニティラジオは日本で慣れているはずですが、インドネシア語かジャワ語しか通じないので、簡単なやりとりだったにもかかわらず、緊張をして、途中に何を言っているのかわからなくなってしまいました。
ジャワ音楽の演奏とリスナーとの交流は晩の20時まで三時間にわたって続きました。このような住民グループは村の中にいくつかあり、毎週一回、交代で演奏&放送の活動をしています。
火山とともに生きる村人の生活の中に、コミュニティラジオ局がしっかり根付いています。
(日比野純一)