FMわぃわぃはオックスファム・ジャパンと協力し、7月8日からイタリアで開催されている主要国首脳会議(G8サミット)についてオックスファム・ジャパンの山田太雲氏=写真=のレポートをお届けします。先進国のマスメディアが伝えない視点でサミットで話し合われる貧困、保健・医療、食料危機、気候変動などの問題について情報発信をしていきます。G8レポート専用ブログも開設しましたので、こちらもご覧ください → G8レポート from FMわぃわぃ
【7月8日 ラクイア=山田太雲(オックスファム・ジャパン)】みなさま、こんにちは。オックスファム・ジャパンの山田です。一昨年にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミットでお世話になって以来、FM わぃわぃにブログ報告させていただくのは、今回で2度目となります。できるだけ臨場感のある情報をお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。また、世界中から集結しているオックスファムの仲間たちが、毎日ブログにメッセージを書き込んでいますので、少しでも英語が分かる方は、ぜひこちらもご覧ください。(http://blogs.oxfam.org)
5日夜にローマ入りし、今日、車で3時間の移動を経て、サミット開催地ラクイラという街にあるG8国際メディアセンターに到着しました。考えてみれば、北海道洞爺湖サミットまでのジェットコースターのような日々が終わった日から、今日でもう364日経っているんですね。ちょっと信じられない感じです。
洞爺湖サミットは、気候変動や、食料価格の高騰など、途上国に住む貧しい人々にとって次々と危機が起こる中、G8は自らの役割を果たすことができませんでした。唯一プラスの成果があったのは、保健医療の問題について、G8がこれまでに交わした約束をしっかり果たしているかどうかを、毎年のサミットで検証することに合意したことでした。こんな約束をしなければいけないこと自体、考えてみれば哀しいことですし、G8の信頼性が当時も揺らいでいたことの証左でしょう。
今年はしかし、この主要国首脳会議(G8)と呼ばれる枠組み自体の存亡がかかっています。これまでG8が世界に推し進めてきた経済モデルのおかげで今の経済危機を迎えたこと、そして危機が起こってからのこの1年弱の間に、G8が問題の元凶となった金融機関の救済に投じた金額は、これまでの49年間に先進国が途上国に届けた開発援助の総額の約10倍にもなる(http://www.endpoverty2015.org/english/news/financial-industry-receives-10-times-more-money-1-year-poor-countries-receive-49-years/23/jun/09)という事実に、世界中の人々が、そしてG8以外の国の政府が、怒っています。
G8 はこれまで、自分たちは経済大国であり、その分の責任を果たす国の集まりであると言ってきましたが、このサミットでまさに責任を果たせなければ —— つまり、どうやって来年までに援助を500億ドル増額するという約束を守るのか具体的に示し(信頼性の危機)、自分たちの温室効果ガス排出量を最低40%削減することで、国連気候変動交渉に弾みをつけ、貧しい国々の農民に対する支援を行うことで、彼らが食料援助に頼らなくても済むようにすることができなければ、最終日にこのサミットを「やっぱりG8の首脳が会うことは大切だ」と総括することは到底できないのではないかと思います。
残念ながら、各国政府から聞こえてくる情報は芳しくありません。私はこれまで、いくつかのG8サミットに関わってきましたが、首脳たちが到着する前から議長国の首脳が、「あまり結果には期待できない」などと発言するサミットは初めてです。しかし、このブログを読んでくださっている世界中の皆さんと同じように、ローマとラクイラに分かれて活動しているオックスファムの派遣チームも、責任逃れは許されない、ということをしっかりと各国首脳たちに伝えるつもりです。