たきび131号(2025/1/17)

震災30年を迎える。また昨年(2024年)はひょうごんテック(テック)設立20年だった。この一年は「休憩」の一年と思っていたがNPO情報セキュリティ専門家としての一年でもあった。

歴史をひもとけば、21年前に設立されたひょうごんテックには二つの母体と根拠地があった。母体の一つ目は、たかとり救援基地で生まれたツール・ド・コミュニケーションである。パソコンを手作業でメンテナンスしたり多文化なパソコン講座を行ったりしていた。もう一つの設立母体はHYOGON技術支援ワーキングループである。このグループはひょうご市民活動協議会(HYOGON)に設置されていた。この二つが重なりテックが誕生した。事務所はたかとりコミュニティセンターの中に設けられた。神戸・兵庫のNPOにリユースパソコンを届け、ITメンテナンスを行う事業を柱に活動を開始したのは2004年である。その後オープンソースの力をNPOに生かす活動に注力し、またテックカフェという講座を定期的に開催してきた。それらと同時に、ながらくTCCのITインフラをテック事務局のオガタさんが中心になって支えてきた。

震災30年のいま考えているのは、団体名の変更も念頭に入れた、ぼちぼちの再出発である。新型コロナウイルスの影響などから講座開催が減り、また昨年TCCのインフラ下支え事業も終了となった。「ひょうごんテック」という名前の由来であるHYOGONとの接点も薄くなっている。 “テック”という単語もテクノロジー・技術・ITのつもりだが今となってはわかりにくいかもしれない。

この一年、とりわけ取り組んでいるのはNPOの情報セキュリティである。わたしは日本NPOサポートセンターの専門家という肩書きも持ちながら、NPOの情報セキュリティにかかわる支援を行っている。セキュリティは単なる技術の話しではない。訪問先では中小企業向けのセキュリティガイドライン(IPA 等が発行)を一つの規準に、団体ごとに困っている・悩んでいることを解決する手助けを行う。そして来月には、神戸でNPOの情報セキュリティ専門家を招いて講座を開く予定だ。

テックが設立されたときは、「パソコンを使う」「インターネットにつなげる」「ホームページを持つ」ということが基礎でもあった。社会そのものがIT化・インターネット化するなかで、テックの役割も変わっていく。まちがいないのは多文化・市民活動の根底でITをその力の一つにすることが重要ということである。

30年が経ち、ITとそれを使う人との違いが変化し、社会の中に混ざってきた。それでも社会を変えていく・支えていく市民活動のためのIT・技術の重要性に変わりはない。

ヨシノタロウ