【活動報告】地域に暮らす外国にルーツがある女性のための相談・情報発信事業(2024年10月から2025年9月)(2024年度中央共同募金会助成事業)

本事業は、中央共同募金会様の「外国にルーツがある人びとへの支援活動応援助成事業 第5回」の支援を受けて実施することができました。心より感謝を申し上げます。

本助成で行った事業(活動)の概要

1)電話・面談・オンラインによる相談対応

  • 毎週水曜日11:00-16:00を相談時間として対応。その他の曜日でもメール受信、入電があれば対応。
  • 各相談機関(NGO神戸外国人救援ネット、ひょうごDV被害者支援連絡会等)とのネットワーク作りのため会議・研修等への参加、ネットワーキングによる情報交換。

2)「おしゃべりのつどい」の開催

  • 毎月最終土曜日13:30-16:00に開催。
  • 気軽に集い話ができる場として参加を呼びかけ、その場で相談があれば対応。
  • 参加を促すお楽しみ企画の実施。

3) 情報発信「あんしんつうしん」事業

  • スタッフ2名(日本語ネイティブ1名、 タガログ語ネイティブ1名)で発信するコンテンツの企画、作成、発信業務。日本語コンテンツの英訳は在宅ボランティアにも適宜依頼。
  • 受信希望の登録者に専用のメールアドレスからやさしい日本語・英語を発信。
  • フェイスブックページ、LINEでやさしい日本語・英語・タガログ語コンテンツを発信。他団体が発信する有益な情報をシェア。
  • インターネットラジオ番組「AWEPあんしんつうしん」を制作:月に1回、翌月分を英語・タガログ語・日本語で収録。FMわぃわぃのウェブサイト上のアーカイブを団体ウェブサイトにリンクしオンデマンドで視聴可能。

4) マサヤンタハナン(フィリピン出身者の自助団体)のエンパワメント

  • 組織運営の併走サポート(運営へのアドバイス)
  • イベントへの協力、メンタルヘルスセミナーの共催
  • 相談活動のスーパーバイザーとして相談担当者を派遣(月1回)
  • 助成金情報などの情報提供

5)外国にルーツを持つ女性のメンタルヘルスケア

  • 年に2回の講座(ワークショップ)の開催(日本語、英語、タガログ語の話せる臨床心理士を講師として広島から招聘)。必要に応じ個別カウンセリング(対面及びオンライン)の機会の提供。

本助成による事業(活動)の成果

1)の事業について

  • 相談ケース75件(国籍:フィリピン、ベトナム、中国、ロシア、ナイジェリア、オーストラリア、アメリカ、ペルー)
  • 毎週水曜日を相談日とし、電話・面談・メールで相談対応。水曜日以外でも相談があればその都度対応した。

2)の事業について

  • 毎月最終土曜日13:30-16:00に開催。国籍・人種・出身に関わらず誰でも気軽に集える場を提供し、相談があればその場で対応した。
  • 参加を促すお楽しみ企画の実施(11/30日本のお正月の過ごし方 5名、1/25防災グッズ・非常食の紹介・試食13名、3/22セルフマッサージ講座6名、4/26お弁当作りのコツ3名、7/26フィリピンカフェ8名、8/30夏休みの宿題をしよう7名、9/27フラワーアレンジメント6名)

3)の事業について

  • メール配信(やさしい日本語、英語)5回  ※2025 年4月以降はメール配信を停止。LINEによる配信のみに移行。
  • フェイスブックページへの投稿・他団体等の有益な情報をシェア(やさしい日本語、英語、タガログ語)169回
  • LINEでの発信(やさしい日本語、英語、タガログ語)61回
  • インターネット番組配信(YouTube)(日本語、英語、タガログ語)12回

4)の事業について

  • 助成金情報の提供、申請書類作成にあたってのアドバイス・作成補助
  • 事業運営・意思決定方法に関する相談に対応
  • 生活相談対応及び相談事業運営アドバイスのため、マサヤンタハナン事務所を訪問(月1回)

5)の事業について

山内浩美氏(広島大学)を講師に招きセミナーを2回開催

  • 2/24「インターネット依存症」16名(オンライン含む。フィリピン、ルーマニア、日本)+スタッフ3名
  • 7/21「なぜ自分を責めてしまうのか」13名(オンライン含む。フィリピン、日本)+スタッフ3名

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み

1)の事業について

  • オンライン(Zoom)やメールなどで遠方からの相談を受け継続して支援が必要なケースで、相談者の近隣に支援者が見つからないなどの課題がある。支援者同士のネットワークの強化が必要。
  • 近隣の他の支援団体と連携して事案の解決につなげているが、何れの団体も相談に対応できる人材が限られている。既存スタッフの対応力向上及び新規の支援者、特に同行ボランティア育成のため、研修プログラムの作成・実施を計画している。

2)の事業について

  • これまで会場として無料で利用していたキッチンが利用できなくなり、毎年人気のあったお弁当作り講座の実施ができなかった。定期的に使用できる代替会場を検討中。
  • 引き続き参加のハードルを下げる工夫を考えていきたい。

3)の事業について

  • 情報発信方法については、需要が減っているメールでの配信を中止し、LINEによる配信に一本化した。友だち追加数も順調に増加しており、引き続き登録者数を増やすよう広報を工夫したい。
  • 利用者(当事者)の需要の高いコンテンツを作成するために、引き続き当事者グループと連携し、当事者によるコンテンツの企画・作成及び発信を継続していきたい。

4)の事業について

昨年度までと同様、運営スタッフの役割分担・意思疎通に課題があり、運営において特定の個人に負担がかかっている状態である。活動資金調達に必須の助成金申請については、日本語での申請書類作成に手助けが必要である。組織運営面でのアドバイスを継続しつつ、ボランティア等、事業を担う人材募集などの面での支援も行っていきたい。

5)の事業について

当事者の意見をもとにテーマを設定したため関心が高く、多くの参加があった。引き続き開催希望があるので、出席者の意見・感想を今後の内容に反映させ実施していきたい。

寄付してくださったみなさまへ

 ご支援ありがとうございます。私たちの団体は1994年8月に活動を開始し、1995年の阪神・淡路大震災以降、神戸周辺に暮らす外国人女性のための生活相談活動、情報提供事業を続けています。収益性のない事業のため、財源として寄付を活用させていただくことで運営が可能となっています。

 2014年9月に特定非営利活動法人として新たなスタートを切り、2025年は設立31年目の年でした。「支援される側」だった外国人女性のなかには、現在は支援者として、私たちの活動をともに担ってくれる方も増えています。私たちの活動は「異なる人種、価値観、信念をもつ女性たち、それぞれのアイデンティティを紹介しあうこと、日常生活に役立つ情報の提供、日本での子育てにおいて大切な知識など、知ることでエンパワメントにつながっています」と、地域の外国人女性の方から感謝の言葉が届いています。

今後も引き続き、サポートの必要な女性たちの支援活動も継続しつつ、外国人女性たちが自ら情報発信・表現する機会を提供し、在住外国人コミュニティ形成・コミュニティの情報共有の促進に貢献していきたいと思います。また、この成果を社会に広く公開し、多くの市民の方々とともに誰も取り残さない社会を創っていきたいと思います。今後も引き続きご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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