第120話 言葉の文化と西須磨下町の方言 2018年10月27日放送
「訛りは国の手形」と言われますが、井上さんによれば、「西須磨では、今は聞きようもない」という状態です。「兵庫・神戸のなんどいや」は、文字では伝わっています。「イノシシが腹を突(つつ)く」……おわかりでしょうか。旧10円札(高額紙幣)がイノシシ模様だったのです。懐に「お金をたっぷり」持つことがすくない庶民は、つい口にだしたかったのでしょう。「ぐつがわるい」「しゃないなあ」「どっとわややなあ」「べっちょない」など、微妙なところを表現していました。どこでも、だれでも、関東弁の「……サー」を孫世代が使うのを聞き、「方言」も「もうあかん」かなという思いがします。
120話 明治33年発行の10円札裏面「うらいのしし」
昭和初期、下町の「おっちゃん」の懐にこのお札が入ると、今日は「イノシシが腹を突く」と自慢した