戦争と平和を考える 自衛隊は戦場に行くのか~憲法学からみた安全保障関連法案


耳をすませてリスニング・トゥゲザー2015年夏の特番シリーズ。
自衛隊は戦場に行くのか。憲法学者から見た安保関連法案。7月29日~8月25日までの5回シリーズ
夏休みの間、たくさんインターンとして共に活動してくれた大学生のみなさんに聞き取り、要約をしてもらいました。

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●第1回放送『要約』
テーマ:なぜ安全保障法が出てきているのか。
政権側の説明では、安全保障環境が根本的に変化をしているなどと言っているが、
今回の法の改正が必要だという本当の理由は、日米同盟を基軸に据えるためだと思う。
こういう考え方はアメリカの力に影響して、国際秩序を維持していくという考え方である。
しかしその考え方を維持していいのかどうか根本的に考え直さなくちゃいけない。
集団的自衛権について、従来の政府の説明は武力攻撃を受けて初めて反撃できるということだった。
ところが今度は我が国の存立が脅かされる危険があるだけで反撃するとなっている。
安倍さんは集団的自衛権を認めてしまって、日米同盟を本当の対等な関係にしたいという想いである。
こうやって日米同盟を強固にすることによって、戦争を抑止することが出来るんだという風に説明をされている。
日本は戦後70年間専守防衛でやってきて、戦わないからこそ自衛隊が海外に行ってもちゃんとした仕事ができていた。
そういう日本のあり方で今後も国際貢献を続けていく必要がある。
★『感想』
自衛隊が存在し、日本には自衛権があり、日本が外から攻撃を受けた際に、その攻撃をはね返すだけの実力があってもいいということには賛成できます。しかし、集団的自衛権の行使が容認されることには賛成できません。
日本にあてはめると、アメリカが攻撃された場合に、日本が攻撃されていなくとも反撃するということになりますが、
自国が攻撃されていないのに、一緒になって反撃をしてしまうのはどうかと思います。
憲法九条により、これまで集団的自衛権を行使できないという立場を通してきたので、
このままその立場を通していってほしいです。
集団的自衛権などのことはニュースで耳にしていましたが、あまり詳しく知ろうとしたり、考えたりはしてきませんでした。
今回テープ起こしをして知ることが出来て良かったです。
これから生活していく中で、自分の国のそういう動きは意識するようにしようと思いました。

●第2回放送『要約』
今回は、法案の中にはもちろん、政権側の言説の際にも出てくる「後方支援」についてお話を頂きました。
今回の法案の前には、周辺事態法があり、その周辺事態法とその周辺事態法をつくることになったガイドラインの改定により、後方地域支援のリアエリアサポートがロジスティックサポートという風に変えられて、日本の政府はそのまま後方支援という風に訳しているわけです。
ところが、ロジスティックサポートというのは、英和辞典で調べると兵站と出てきます。兵站とは要するに作戦部隊の戦闘部門のところに必要なものを必要なだけ必要な時に送り届ける仕事であり、後方支援での支援ではなくなっているのです。
★『感想』
「後方支援」という言葉の響きだけでは、戦場地域から離れて待機し、必要な時のみ支援しに動くものであると思っていました。しかし、今回のお話を聞いて、前線に行って支援するものであると知り、カタカナ言葉を上手く変えて自分達の法案のやりたい放題な感じがして、腹立たしいです。そうなるのであれば、隠し事なく説明して国民の意見を聞いてほしい。

●第3回放送『要約』
テーマ:PKO活動における武器使用について、また全般において、どのような問題が起こるのか?
PKO活動の中で武器を使用したりするということがどのような法的な問題を抱えているのか。
問題なのは2点。1つは治安維持や駆けつけ警護で任務遂行のために武器を使用することが出来るようになるという点。
これは任務遂行のために発砲するということがあるということ。
もう1点は治安維持のために自衛隊を派遣することが出来るという風にされている点。
これはPKO参加五原則を維持しながら行われている活動の場合には自衛隊が参加できるということ。
ISAFの活動など、そういう活動に加わることを可能にしようとしているのが今出ている法律案。
なぜ日本は実働部隊でPKOに出ていこうとしているのか。
自衛隊を海外で活動させるには今のところPKOの枠組みしかない、そこで日本の自衛隊の存在をプレゼンしたいという、そういう意図が法案の後ろに見えている。
実際自衛隊は盛んにPKOに行って復興支援をやっていて戦わない軍隊である。信頼を得ながら活動していてそれは非常に大きな資産となっている。
★『感想』
私は安保条約を改正することに反対です。
今回、実際に治安維持活動をしている他国の軍の中では、戦闘攻撃に巻き込まれて死者が出ているという現実を知りました。今は日本の自衛隊は、治安維持活動を行っていませんが、今後参加するとなると、死者が出ることからは絶対に免れないと思います。
日本での終戦記念日は8月15日ですので、最近は戦争のことをテレビで目にすることが多かったのですが、
改めて戦争について知っていくと、これからも日本は非戦の国として国際貢献をしていかなければならないと感じました。
インターネットで日本は戦争をしないと宣言をしているから信用できるという文章を見つけました。
海外からもこのような声があり、信頼を得ているのだから、PKO活動の中で武器を使用することが出来るようになるような安保条約の改正には反対です。

●第4回放送『要約』
法案の審議過程において、今回の集団的自衛権は憲法によっても容認されるという根拠として、政府側は1959年の砂川裁判の最高裁判決を、その正当性の例として挙げている。
テレビ、マスメディアでも国民への説明責任の大きな根拠として堂々と論ぜられているが、このことが反対にいかにこの法案の正当性を論ずることができないかということを露呈している。
多くの憲法学者のとってあまりにも無茶な政府の法学者の一人ともいわれる高村副総裁からだされたことで
多くの憲法学者にとって、唖然とする、顎が外れるほど「ポカンとしてしまう」無茶苦茶な論理であると長岡教授は指摘した。

1950年代日本の本土にあった米軍基地が拡張され続け、その1つが立川市にあった砂川の米軍基地の拡張。
地域の住民、労働組合が反対闘争をする中で、米軍基地の中に無断で立ち入った。
その行為を安保条約に基づく刑事特別法違反として起訴された事件であり、その裁判が砂川裁判である。
この裁判の中で一貫して問題になっていたのは、「安保条約が合憲かどうか」ということ。第一審の地方裁判所は、「安保条約は憲法違反」であるから住民側を『無罪』と判断。それに対して日本の政府が、高等裁判所を飛び越えて、最高裁判所に控訴、「安保条約は合憲だ」という最高裁判決を得た。この飛び越えて最高裁判決が必要だったのは、60年の安保改定を控えていたからであり、この何でもかんでも、論理や学問を飛び越えて、無理を通すというやり方は、今の状況に非常によく似ている。急がなければいけないという事情があった!そして今もある!ということを如実に表している。
それでこの砂川の最高裁の判決がしばしば引用される。しかしながら当時問題になったのは<安保条約の合憲性>であり、現在の<日本に集団的自衛権があるかどうか>ではない。
この全く方向違いの判決をもって論理的展開をしていくとすれば、【無理を通せば、論理が引っ込む】のことわざ通り、例えば自衛のために必要だから核兵器は必要だという議論だって高村副総裁式の議論からいえば引き出せることになる!という無茶苦茶なものである。内閣内部からも「その論理はいかがなものか」という声がありながら、押しとおるというのは、すなわち今内閣が何としても通そうつする法案がいかに法治国家の成り立ちから外れているか!ということに他ならない。
その点をしかと一人一人は見つめ、正していかなくてはならない。
★『感想』
詳しい用語は少し難しいが、大まかな意味は「自民党が根拠としようと持ってきたものは学者からすれば全くの見当違いであり、それを指摘されるとあたかも逆ギレかの如く力で押し切ろうとしている」というものである。
圧力をかけるのではなく、もう一度検討し直してほしい。

●第5回放送『要約』
今後どういうことが起こりうるのか、また市民にできることはどういう事ができるのか、これからの日本を考えた議論がなされた。
今回の法案は中立的な立場から見てもどうも無理筋であるが、通るかもしれない。
しかし、世論調査では圧倒的多数の国民反対しており、内閣の支持もどんどん落ちてきているので、阻止することは不可能ではない。具体的な対策としては私たちの運動を盛り上げるということが挙げられる。
そして国会の中の人々に訴えかけ、動かすことに繋がるかもしれない。
なぜなら自衛隊が戦争に加わることがあってはいけないと考える保守派の議員が自民党の中にたくさんいるからである。
戦後70年である今だからこそ、映像、資料等を見て、戦争の意味を改めて考えてほしい。
人間だけが戦争を起こし、戦争は人間の知恵で抑えることができるので、今の日本は重大な状況に立っている事をもう一度考えていってほしい。
学生には外に積極的に出て見聞を広め、考え方を深めていってほしいと述べる。
★『感想』
今は日本が色々と変わってきている時代であるのだと感じました。
また変わる必要があるといった転換期にきているのかもしれません。
今の若者が大人になっていく時代のためにも、若者の力は必要不可欠になってくるので政治の状況や体制をしっかりと理解し、若者の力で日本を変えていく世の中になってほしいと感じました。
ただ理解するだけでなく、外に出て自分の目で見て確かめ、行動に移し、あるいは次世代にも伝えるといったこともしていく事が大事であると思いました。
時代とともに文化も変わってきており、私自身SNSは活用しておりませんで、学生が政治やそれに関する事を呟いているという事に驚きました。安倍さんの件でもありましたが、今やインターネットの影響力は凄まじいものであります。
それだけにリスクも必ず存在するので、そういってところにも目を向ける必要があると思います。
やはり政治の事を無理に教えられ、嫌々勉強してもなかなか自分の考えも出てこないと思いますし、自分自身の将来のためにと思って進んで学んでいきたいと思います。