第2金曜日は12時30分から「技術のつくだ煮」技術のマエストロ佃が語ります!今回は2回目


兵神水耕栽培

毎月第2金曜日の「まちはイキイキきらめきタイム」12時~13時25分までの放送。
12時30分からのコーナーは「技術のつくだ煮」担当は、佃由晃。技術のマエストロの鋭い感覚で地域に根付くこれからの時代を拓く技術について語ります。

オンディーヌ

今回は第2回目は兵神機械工業の「船舶用機械メーカーの水耕栽培」

水耕栽培
水耕栽培

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船舶用機械メーカーの水耕栽培
1.兵神機械工業
1929年12月、長田区梅ケ香町に創業。1945年3月17日の神戸大空襲で工場焼失。戦後1948年若松町に工場建設。若松町の工場が手狭になり、1965年加古郡播磨町に新工場建設し現在に至る。船舶用機械の専門メーカー。海用汚染防止用の船舶油水分離器では世界のトップシェアメーカー。
今年3月に発刊された日刊工業新聞の「関西のモノづくり企業111社」に兵神機械工業が取り上げられた。
2.農業への参入
 ①日本の農業を取り巻く環境
  ・低い食料自給率
  ・農家の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加
  ・効率化の遅れ、儲からない農業
  ・自由貿易圏構想(TPP)
  ・食の安全・安心
 ②ねらい
   3年前に工場周辺の休耕田を借りて、長年培ってきた技術を生かして新規事業の水耕栽培に着手(兵神ファーム)。岐路に立つ農業を支援し、水耕栽培の儲かる仕組みを構築して地域の産業振興と雇用の創出を願う。
3.水耕栽培とは、特徴
 ①施設形態:露地栽培、ハウス土耕、水耕ハウス、植物工場
  水耕栽培とは土などの固形培地を使わず、肥料を含む水(液肥)を用いて野菜を促成栽培する。
 ②水耕栽培の長所
  -作業時の身体負担少ない
  -土を使わずきれいな作業環境
  -生産性が高い
  -計画生産が可能
  -農業未経験者でも簡単(兵神ファームの要員:18人中農業経験者一人)
4.取り組み
 ①水耕栽培ハウスの開発(オンディーネ:水の精)
 (水耕栽培の特徴)
 ・農業未体験でも簡単:温度。液肥温度などの栽培条件は自動制御で操作・管理が簡単  
  ・土・日が休める:室温・雨を感知し、換気装置を自動制御
  ・安全・安心:衛生管理され、病気・虫などの影響を受けない安全・安心システム
 (装置の特徴)
  ・スライド式の栽培棚を採用し空間の有効活用→収穫量アップ→利益を生む農業
  ・自動制御で安定した管理
   -液体肥料は循環層に自動供給、濃度一定保持
   -循環液連続自動殺菌
   -自然を活かした太陽光栽培
   -室温自動調整
   -遠隔操作システム
 ②色んな種類の野菜の栽培とその栽培ノウハウの蓄積
   サラダほうれん草、ベビーリーフ、サラダ水菜、ミニセロリ、小松菜、ミニトマト、
   イチゴ、サニーレタス、サンチュ、イタリアンパセリ、ねぎ、小松菜など
 ③力を入れている野菜:ベビーリーフ・ほうれん草
  ベビーリーフは発芽後10-30日程度の若い葉菜の総称である。葉丈10-15cm程度で収穫し、主にサラダなど  に使用している。この野菜は作って袋包装したものをそのまま家庭の食卓に出し、ドレッシングをかければすぐ食べられるので最近よく売れている。いろんな所で作っているが露地栽培である。露地栽培では収穫後、土落としが必要でこれら作業は重労働で手間がかかる。水耕栽培の場合は土、虫がなく殆ど洗う必要がないので処理がしやすい。カット野菜工場では菜を集め水洗いしカットするが、ベビーリーフはカット野菜ではなく収穫したそのまま使えるので今後ニーズは高くなるはず。兵神ファームではさらにインパクトをつけるため、色、組み合わせの研究、作業効率をどのようしてアップするかなど目標をもって取り組んでいる。
 ④販路の開拓
   直売所、スーパー、市場、牛乳宅配業者、店頭(喫茶店・ホームセンター・コンビニ等)、
カット野菜メーカー
(将来水耕栽培装置を購入された方に販売ノウハウの指導・販売先の紹介等をするため)
 ⑤ハウス販売に関心を持つ人
   専業農家:経営の安定化
   兼業農家:安全・安心野菜の供給、補助金の利用、経営の多様化(水耕栽培、露地、稲作)
   新規就農者:心の安らぐ職業、補助金の利用、自らの野菜の安定供給
   福祉団体:特別支援学校、NPO
   企業:高齢者・障害者雇用対策、福利厚生、
・兵神ファームに興味を持つのは会社勤めを辞めて農業をしたいという「新規就農者」が最近多い。しっかりした考えを持ち、将来田舎で農業をしたいと考えている。一例として経営安定のためブドウ栽培だけでなく、野菜の水耕栽培もやりたいと言う人が兵神ファームに来られ、オンディーヌを購入された。
今兼業農家の息子さんは田んぼを持っていても農業を継がない。兵神ファームの水耕栽培装置(オンディーヌ)は元々農家の息子さんを対象に考えていたが、定年者が第二の人生としてやりたいという人の方が多い。
・企業は障害者雇用を義務付けられているため、水耕栽培に興味を持っている。また雇用年齢の引き上げに伴い、高齢者の雇用の場として注目されている。仕事量に山谷のある企業が谷の時期の仕事として興味を持っている。企業の新規市場として農業に興味をもつ会社が増えている。企業は今まで土地を借りることはできなかったが、今は借りることが出来る。借地料は極めて安い。
 ⑥ハウスの採算
 これまでのハウス栽培は2反(600坪)、6000万円程の投資が必要であったが、3畝(150坪)500~800万円で採算がとれるようになってきた。   
5.社会貢献:関西大学大西ゼミ生インターンシップと東北支援
 関西大学の3回生、4回生の学生をインターンシップとして受け入れている。学生は「農業と工業のコラボで新しい農業を普及できないかを探す」という目的のもと、農工事業担当者と関西大学大西教授の指導を受け、露地と水耕栽培を体験。出荷先見学や農業や企業の現状や、販売ルートのことなど活発なディスカッションなどの農業研修を行っている。
6.6次産業化
 1次(生産)×2次(加工)×3次(流通・販売)=6次産業化  農林漁業者の雇用確保と所得向上
7.青年新規就農倍増プロジェクト