昨年11月にフィリピンの中部を襲った超大型台風ハイエンの被災地で、災害ラジオ局の立ち上げ等を支援するための募金活動を呼びかけ、たくさんの方から寄付金(総額98,194円)をいただきました。
去る8月下旬に、フィリピンに滞在中のFMわぃわぃの会員であり、世界コミュニティラジオ放送連盟(AMARC)の仲間である橋爪明日香さんに集まった募金を託して、橋爪さんがレイテ島のタクロバンにある災害ラジオ局を訪ね、寄付金を直接、ラジオ局の皆さんに渡してくれました。
以下、橋爪明日香さんからの報告です。
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ラジオアバンテ リポート by 橋爪明日香
8月23~25日、フィリピン・レイテ島にある台風ハイエンの被災地に立ち上がった災害ラジオ局「ラジオ・アバンテ」に行ってきました。FMわぃわぃに関わる皆さんからの義援金を直接手渡しさせていただきました。
ラジオアバンテはレイテ島の玄関・タクロバンの空港から車で15分ほどのまちなかにありました。折れたココナッツツリー、壊れたままの建物、テント、仮設住宅、新しい家、緊急的につくられたお墓がまちのあちこちにありました。
局に到着すると、スタッフのみなさんや出演者の市民の方々が歓迎してくれ、すぐに生放送に出演させてくれたり、局の様子を熱心に説明してくれ、義援金と訪問をとても喜んでくれました。翌日からはタクロバン市内を案内してくださり、仮設住宅などをまわって住民の方々にお話をきくことができました。
ラジオアバンテは台風ハイエン後に立ち上がった、非営利の災害ラジオ局です。First Response Radio(FRR)という災害支援の国際NGOとThe Peace and Conflict Journalism Network(PECOJON)というジャーナリストたちによる国際ネットワークが支援して、今年1月13日に立ち上がりました。”アバンテ”とは、前に進もうという意味で、台風被害で何もできなくなってしまった後、前に進もう、動こうというメッセージを込めてステーション名につけたそうです。
フィリピンのラジオ局は音楽ステーションが多いそうですが、ラジオアバンテはインフォメーションやトーク番組を中心に放送しています。言語は現地のワライワライ語が主で、他にタガログ語、英語などが使われています。スタッフは台風によって職を失ったプロのジャーナリストたち…台風後に閉鎖したメディアもいくつかあるそうです(ラジオ局は2局閉鎖)。ラジオ、テレビ、新聞出身者がいて、ラジオ放送以外にもコミュニティ新聞を発行したり映像取材をするなど多面的に発信をしています。
しかし、問題はラジオアバンテを続けていくこと。今は短期のプロジェクトとして11月までは放送許可が降りているそうですが、その先の免許を取れるかがひとつの課題。通常、フィリピンでは申請してから放送免許が取れるまでに2年程かかる上、申請のためには毎月1回飛行機でマニラに行かないとならないそうです。
また、開局からずっと十分な機材が整っておらず、アンテナの状況が悪いなどの理由で3度引っ越しをしています。特にもっと良いトランスミッターが必要なんだけれども、それを購入するのにも操作するのにも国の免許がいるそうです。
ラジオ局の代表であるPECOJONのコーディネーター・レンさんは、ラジオアバンテのプロジェクトはとても大きなチャレンジだと言っていました。それは、局のスタッフはプロのジャーナリストたちではあるがコミュニティメディアのやり方と、マスメディアのやり方は違うので、そこをわかってもらうのに何度も話し合いをしたり、マインドをわかってもらうのに苦労したとのことです。開局から半年が過ぎ、今では分かってくれるようになったかなとのことです。
私は3日間しかタクロバンにいなかったので表面的なことしか見れませんでしたが、初日にラジオ局の住所の近くまで行ってもなかなか局が見つからず、まちなかで「ラジオアバンテに行きたいんだけどどこですか?」と聞いてまわり10人中3人くらいしか局の存在を知らなかったので、もしFMわぃわぃのみなさんとタクロバンに行くことができたら広報活動キャンペーンをやってはどうかなと思いました。
レンさんにラジオアバンテの認知度について聞くと、開局当日はたまたまチューニングして放送を聞いた人から50通のメッセージが来て、今は数千人のリスナーがいるとのこと。ラジオアバンテの周波数などはビラを手配りするなどでお知らせしたそうです。
また、ラジオアバンテのスタッフのみなさんは、FMわぃわぃとの友好関係をスタートさせることやAMARCなどのコミュニティラジオのネットワークについてとても興味を示してくださいました。11月8日はメモリアルの日なので、ぜひタクロバンに来てくださいとのことです!
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橋爪さんが訪れた後と前に、ラジオ局代表のレンさんから感謝のメールをいただきました。以下、その一部です。
Thank you Junichi Hibino for reaching out to us. It is wonderful to meet new friends in the community radio movement. It will be wonderful to learn more about Radio FMYY. We make sure the money will contribute to the growth of Radyo Abante in Tacloban. More power to FMYY. Thank you to your colleagues.
また、橋爪明日香さんが現地の映像も送ってきてくれました。
以下から観てください。
時間がかかりましたが、橋爪明日香さんが直接、訪れてくれたことでこれから息の長い交流をして行きたいと思います。
なお、フィリピン内での移動費などの事務経費として、寄付金総額の15%にあたる14,730円を活用させていただきました。
ラジオ局の情報などさらに詳しい情報が必要な方は連絡をください。