「海外事業」カテゴリーアーカイブ

ラジオ番組製作に向けて~サミラン村のMMC FMでのワークショップ~

皆さま、こんにちは。最近のジョグジャカルタは雨季が近づき始めました。
さて、先週はサミラン村のコミュニティラジオ局、MMC FMにて2日間ラジオ番組製作に向けてのワークショップを行いました。サミラン村では農業が盛んで、MMC FMのスタッフもほとんどは野菜作りなどを行っている農家の方々です。

ワークショップ1日目には、ソーシャルマップ(地域情報を載せた地図)を用いた情報の収集・分析や、社会的なテーマの番組作成方法や、インタビュー方法について実践を交えながら講義を行いました。農家の多いサミラン村の住民のために、農業に関するテーマと、若い世代や新婚夫婦に向けた適切な出産方法をテーマに、2つのグループに分かれてソーシャルマップを作成したり、インタビューの質問事項を考えました。地図を使って客観的に村の日常を分析することや、インタビューの事前にインタビューの目的や質問をラジオのリスナーの立場になって考えながら下調べを行うことは、より豊かな番組製作には欠かせないプロセスです。

2日目には1日目の内容をもとに、地元住民へインタビューの練習を行いました。インタビューの質問事項を決め、音声レコーダーを用いて10分ほどのインタビューを2回行いました。1つ目のインタビューは紙に質問事項を書きだし、質問にそって回答してもらう形式のインタビューで、2つ目のインタビューは、テーマだけ決め、インタビューの回答者との対話形式のインタビューでした。録音した音源を番組の中でどのように使うかも考えるなど、編集にもいろんな工夫ができるとアドバイスもありました。

もともとMMC FMのスタッフはコミュニティを大切にし、地域の情報に精通したメンバーなので、このワークショップの知識をプラスアルファとして活かし、より豊かな番組を製作してもらえるだろうと期待しています。

世界が注目、Jalin Merapi!~メラピ山麓のコミュニティラジオ局ネットワーク(Jalin Merapi)の活動について~

皆さま、こんにちは。7月22日の記事でも少しご紹介しましたが、メラピ山麓のコミュニティラジオ局は、Jalin Merapi(メラピ山情報ネットワーク)という、ボランティアで運営されているネットワーク組織があります。このJalin Merapiは、2006年に3つのコミュニティラジオ局によって立ち上げられました。2010年の火山噴火後には新たに2つのラジオ局が立ち上がり、5つのラジオ局によって情報を軸にした救援活動が展開されました。その後もメラピ山麓のラジオ局の数が増えて現在は、8つのコミュニティラジオ局が互いに協力し合いながら災害情報の収集および提供を行っています。また、我々のカウンターパートであるCombineや地元NGO団体、様々な研究者、専門家がJalin Merapiの活動に参加しています。マスメディアでは伝えられない生きた情報を、火山研究機関や地元NGO等と連携しながら、地域社会のために自ら発信していくことがJalin Merapiがもっとも大切にしている活動理念です。

Jalin Merapiの活動は、コミュニティラジオ局としてそれぞれの地域で、メラピ山における災害情報を提供するだけでなく、3カ月に1度定例会を開き、メンバーである8局が互いに情報交換をし、共通課題の解決や放送以外の防災活動について討議しています。私たちもFMわいわいとしてメラピ山麓でのプログラム開始以来、毎回会議に参加し、私たちの活動の進捗や計画についても協議しています。


 
Jalin Merapiの大きな特徴の一つは、メラピ山麓地域と外部を繋ぐためのメディアミックス活動です。例えば、携帯電話のSMS、アマチュア無線に加え、近年利用者が拡大しているFacebook、twitterを使用し、国内だけに留まらず海外にも活動情報を提供し、2010年のメラピ山噴火時は、被災地から外部への貴重な情報源となりました。ソーシャルメディアを通してたくさんの救援ボランティアや救援物資が被災地に入りました。このように、情報発信を工夫しながら活動を続けてきたことにより、現在ではtwitterのフォロワーが5万5千人を超えているそうです!
 
そして、地元の地域社会に留まらず、世界でもその活動が注目されており、今年の7月にはJalin Merapiの代表のスキマンさんが国連の会議に出席し、メラピ山情報ネットワークについてプレゼンテーションをしました。この10月18日~23日には、Combineのスタッフであるジョヨさんが日本を訪問し、京都で開催される人の安全に関する国際会議にて、メラピ山地域のコミュニティやラジオ局、Jalin Merapiの活動について話をする予定です。また、ジョヨさんは滞在中に、たかとりコミュニティセンターも訪問する予定です。ボランティアで運営されているメラピ山麓のコミュニティラジオ局が、さらに自分たちのネットワークを構築し活動を進めているのは、本当に良いコミュニティ活動のモデルだなと感じます。

大阪大学グローバルコラボレーションセンターからのフィールドスタディーツアー参加大学院生にインタビュー!-10月2日(水)23時から放送の「Selamat malam dari Indonesia~インドネシアからこんばんは~」

皆さま

こんばんは。

10月2日(水)23時から23時30分放送の「Selamat malam dari Indonesia~インドネシアからこんばんは~」は、大阪大学グローバルコラボレーションセンター企画のフィールドスタディーに参加した大学院生5名をゲストにお招きしました。インドネシアのジョグジャカルタに9月15日から9月23日まで滞在した感想とこれからの抱負をお聞きしました。

今回の収録は外で行ったため、雑音等により少しお聞き苦しいところもありますが、ご了承願います。

番組の放送は、10月2日(水)23時から23時30分、再放送は10月中の毎週水曜日の23時から23時30分にお届けします。

防災訓練の捉え方の違い~サミラン村・シドレジョ村のコミュニティ防災ワークショップより~

皆さま、こんにちは。インドネシアから近藤です。コミュニティ防災活動を新たに4つの村で始めるという記事(9月4日)の続きで、9月に入ってからサミラン村とシドレジョ村でも同じく、コミュニティ防災活動を紹介するワークショップを行いました。どの村でも神戸の防コミ(自主防災組織)の活動の様子を紹介するDVDを見てもらい、どの村の人たちも同じ反応かと思いきや、サミラン村とシドレジョ村では真逆の反応が返ってきました。

サミラン村では、このDVDを見終えた後に思いもよらぬ発言がありました。
「この村では悪い事を想定して物事を行うと、それが本当に起きてしまう迷信があるから、DVDの映像のような、防災訓練は受け入れられないです」と、ある女性からの発言があり、他の参加者の方々も同様に、確かにそれは難しいといった雰囲気になりました。

迷信・・・村の人たちが代々語り継いできた価値観・・・

言われないと考えもしなかった事だったので驚きましたが、あくまでも村の人たちがこれなら出来ると賛同した事を、一緒になって取り組んでいくということになりました。日本の防災訓練のようなことを大々的に行わず、まずは女性グループの方々と土砂災害の危険に瀕する地域へのアドバイスを一緒に考えることから始めます。

<サミラン村女性たち>

一方、シドレジョ村ではDVDを地元青年団が食い入るように見てくれていて、防災訓練を楽しくやろう!という返答が返ってきました。この村では元々、Lintas Merapi FMというラジオ局の代表の方が、ラジオの活動とは別に、子どもたちと防災訓練や自然について学習するという活動をされています。その影響もあると思いますが、参加者の方々の防災訓練に対する関心は非常に高かったです。

シドレジョ村では、小学校の先生と青年団の方が、地域の子どもたちに防災に関する指導を行えるよう、これから研修を進め、子どもたちとの活動を行う予定です。

<シドレジョ村小学校の先生>

活動対象村落の6村、それぞれでコミュニティ防災活動が本格化していく段階になりました。どの村でも、しっかりとコミュニティに根付く活動を進めていきたいと思います。

防災カードゲーム作成に向けて~タルン村でのコミュニティ防災活動近況報告~

皆さま、こんにちは。インドネシアから近藤です。

タルン村の女性たちと現在進めている、防災カードゲーム作りはだんだん仕上がりに向かいつつあります。9月6日に、イラストレーターの方に同席してもらい、女性たちとカードの絵についてアイデアをまとめました。このカードゲームは、災害の種類に応じた対策を子どもたちに伝えることを目的としているので、目的から逸れないよう、対策について再度話し合いを行いました。また、イラストレーターの方も、一つの絵に対し、何パターンものサンプル画をその場で描いて下さり、絵によって捉え方や考え方が変わることを説明してくださいました。


サンプル画の説明


ワークショップの様子

さらに、女性たちが積極的にイラストレーターの方要望を伝えていた姿を見て、彼女たちのアイデアだという意識がしっかりあることや、仕上がりの絵を楽しみにする様子が感じられました。カードのイラストが完成したら、次はいよいよ村の子どもたちと防災カードゲームの実践になります。タルン村の女性たちが子どもたちの前でゲームについて説明する光景が、今からとても楽しみです。

新たに4つの村でコミュニティ防災活動開始~ジュモヨ村・ケプハルジョ村でのワークショップ~

皆さま、こんにちは。ジョグジャカルタから近藤です。

このホームページで紹介しているように、私たちのコミュニティ防災活動は、現在タルン村・ドゥクン村の2つの村で行っています。この2つの村でも引き続き活動は継続しますが、新たに4つの村でもコミュニティ防災活動を開始しようと、先月末からコミュニティ防災活動について紹介するワークショップを行っています。

ワークショップでは、神戸での防災コミュニティー(防コミ)の活動事例、子ども向け防災カードゲーム、地域での防災訓練や子どもと楽しく行う防災訓練の事例を紹介しています。ただ単に、日本の事例を紹介し全く同じことをしてもらうことが目的ではなく、災害の種類や地域の文化・習慣が異なる場所での防災に対する取組みを知ってもらうことで、ここインドネシアではどのような防コミの活動が出来るか、メラピ山麓で暮らす人たちに考えてもらう機会になればと思っています。

<ジュモヨ村にて防災カードゲームの説明>

<ケプハルジョ村でのワークショップの様子>

8月28日にジュモヨ村で行ったワークショップも、8月29日にケプハルジョ村で行ったワークショップも、参加して下さった学校の先生たちの関心が非常に高く、この2つの村では今後、防災教育という形で活動を進める予定です。自分たちの中にある災害経験や対策を少しでも子どもたちに知ってもらい、身の安全を守る知識をつけ、メラピ山の噴火を恐れないようになってほしいと願う人たちがどの村にも多くいると感じます。メラピ山と共に生きるという、地域に根付く価値観を次世代にもしっかりと伝えることはとても重要なことなので、ジュモヨ村での活動も、ケプハルジョ村での活動もこれからが楽しみです。