たきび118号(2012/1/12)

 2011年2月、被災地でつかう災害時救援情報共有システムSahana(サハナ)をどう活用していくかを考えるテックカフェを開催した。日本での運用準備はこれからだが、小規模でも災害時に使ってもらえるようにしようと話し合っていた。

 そして、同3月11日。強烈な地震と津波のその日から、Sahanaの運用に向けて取り組みを開始した。その日本運用を目指して立ち上がったオープンソースコミュニティの「Sahana Japan Team」を力一杯支えるところから始まった。すぐに日本IBMからの協力の申し入れもあった。手探りのなか取り組む日々が続いた。

 最終的にSahanaは、岩手県の陸前高田市の83カ所の避難所に配布する物資のマネジメントに、同6月1日から8月10日のあいだ運用された。同11月に現地調査をおこなったところ、約半数の避難所でよくつかわれたとのことだった。

 地震や津波直後など、携帯電話回線や電気も使えないときにはSahanaは役立たない。しかし、タイミングがあえばより有効に活用されうることが、現地担当者の声から伝わってきた。岩手県沿岸部のまちが津波で壊滅している様子に衝撃をうけながら、Sahanaにあらためて取り組む必要性も強く感じた調査旅行だった。

 神戸の震災からの17年。今年もオープンソースと被災地や市民活動をつなぐ活動を続けていきたい。

吉野太郎(ひょうごんテック代表世話人)