思えば、NGO/NPOの情報通信技術支援にかかわるようになって19年になる。最初のきっかけは、インターネットの黎明期に「これは市民活動の力になる!」と確信したことだった。地域がはなれた人々、場合によっては国も違う人々が電子ネットワークを利用しはじめていた。もう一つのきっかけは、特に震災後の大阪やたかとりなどで、在住外国人の方やNGO/NPOの人にパソコンの使い方を教えたり、パソコンやネットワークのメンテナンスを行ったりする機会を数多く得たことだった。それぞれの人が活動の道具としてパソコンやインターネットを活用していく様子を目の当たりにしたことが、いまも私が活動を続ける原動力となっている。
ひょうごんテックの別称「ひょうごNPO情報通信技術支援ネットワーク」にはネットワークという言葉が入っている。ひょうごんテックは、人と団体のつながりによって活かされ、変化してきた。2003年に発足したボランティアグループは、ツール・ド・コミュニケーションの活動にHYOGON(ひょうご市民活動協議会)のつながりをあわせたものだった。NPOの情報通信技術支援の必要性を肌で感じていたNGO/NPO関係者・技術者が集まった。2004年からは木口ひょうご地域振興財団の助成を受け、たかとりの仲間の支えの下で事業を開始した。神戸内外の多くの団体を訪問し、ともに活動する機会を得た。4年間にわたる事業活動の最後の年度からは自由に使うことが出来るオープンソース・ソフトウェアの活用を掲げた。オープンソース活動やひろくITと社会への興味を持つ人々の参加を得て、現在に至っている。そして、震災15年を迎えるこの、たかとりという場が、ひょうごんテックの活動の大切で重要な軸でありつづけたことを深く実感している。
昨年春からひょうごんテックは、テックカフェというITについての茶話会を活動の中心に据えている。4月から始め、12月に開催の5回目では「新しいWebサービスとNPO広報」をテーマとし、30名弱の参加者を得て好評のうちに終わった。テックカフェは常連の方とともに初めての参加者を毎回得ている。ITやオープンソース活動に関わり何かをしたいと思っている人が、NGO/NPO活動や社会とのつながりに興味を持ちはじめている。この場から次のひょうごんテックが生まれていくことを期待し活動を続けていきたい。
吉野太郎(ひょうごんテック世話人)