2018年7月7日~28日毎週土曜日の「いまどきのメディアリテラシー」連青く4回
夏の特番として、この不寛容の時代、移民・難民問題にゆれる現代を俯瞰するため、ドイツに絞って考えてみる機会とします。
ゲスト 中川慎二(関西学院大学経済学部教授)、ききて 山中速人(関西 学院大学総合政策学部教授)、司会 金秋(FMわいわいプロデューサ)
今、ドイツに注目が集まっています。
というのも、不安定な中東地域から難民や 移住民が大量にヨーロッパに押し寄せ、その大半が、ドイツを目指しているから です。
なぜドイツを目指すのか。
それは、ドイツが、第二次世界大戦でユダヤ人 やロマなどの少数民族を迫害した反省から、戦後、紛争地域から多くの難民を受 け入れてきた歴史をもつからです。
また、ヨーロッパ共同体(EU)が成立して以来、ドイツには、同じEU圏内から多 くの人々が仕事を求めてやってきました。それ以前にも、ドイツの戦後復興の過 程で、たくさんの労働者が外国からドイツに働きにきており、これらの歴史的な 流れの中で、ドイツは実質的には多文化多民族国家としての性格を少しずつ強め てきました。
ところが、今日、そのようなドイツの歴史的な生き方に試練を投げかける事態が 起こっています。ひとつは、先ほど、述べた中東からの難民の大量流入であり、 また、もうひとつは、キリスト教文化とは異なる人々がドイツの中で暮らすこと による、さまざまな文化的な摩擦です。
このような状況の中で、ドイツ国内では、ドイツ民族主義への回帰を主張する人 々があらわれ、政治的な勢力をもつようになっています。しかし、他方、戦後の ドイツの生き方を支持し、多文化な人々の共存を進めていこうとする人々もしっ かりと根付いています。
このようなドイツが現在抱えている葛藤を、今回のシリーズでは、取り上げま す。そのために、ドイツの文化と社会の研究を専門とする、中川慎二先生(関西 学院大学経済学部教授)をゲストにお招きし、今日のドイツ社会が直面する問題 について、もっとも新しい状況について解説をしていただきます。
先生の話は、ドイツだけではんく、同じように第二次世界大戦の敗戦国として、 戦後、復興を遂げてきた日本社会が、今日、直面している右傾化や歴史修正主義 やポピュリスムの台頭について考える上で、多くの知見をえることにもなるで しょう。