◆台風9号による土砂災害、現場佐用高校におけるボランティアセンターへの派遣13日から17日の報告
2009/08/18 週刊それいけ!長田<ボランティアセンター提供>①
長谷部:こんにちは、ボランティアセンターの長谷部です。
金:お疲れ様でした。
長谷部:先週の放送で、山口県防府市佐波川流域災害支援から帰ってきました、、の話をしたと思うんです。先週も酷暑の中での土砂災害救援ぐったり、、でしたが今週はますますぐったりですわ。
長谷部:先週はまだ放送で告知する体制ではなかったのですが、13日夜から17日月曜日まで、帰ってきたのは17日の22時くらい。
今日はその現場状況の報告をします。
金:13日に佐用町へ行く道と、17日に帰ってきた道と道路状況はずいぶん良くなったんでしょうか。
長谷部:いや13日は夜中だったんですけど、佐用インターは開いてたんでスムーズに行けたんです。だから昨日との道路状況と比べてもそんなに変わらないですね。インター降りて川沿いの道を行くんですけど、川沿いの道にも土砂が積まれてて、アスファルトが崩れてたり。そういうのは、13日と17日何ら変わってないような気がしますね。
金:東名の復旧のスピードとぜんぜん違いますね。
長谷部:東名のニュースをあんまり見てないから分からないんですけど、東名は局地的崩落ですよね。だから周りから工事のアプローチできますよね。でも佐用のは広い範囲で同じような被害がいくつもあるので、どこから手をつけたらいいやらっていう状況なんです。アスファルトが崩れていたり段差ができていても何とか通れますから後回しなんでしょうね。
金:あー完全崩落ではなく、土でも道があったらそこを通ってきてくれって感じなんですね。
長谷部:そうですね。もう一部の地域を除いて水の復旧も出来ているんですけど、水道管がだいぶやられていて、水圧が低いんですね。だから道路を洗浄するとかボランティアセンターで大量の水を使うというのは、自粛要請が出てます。トイレもまだ仮設トイレだし、長靴とか道具を洗うのも全部給水車に頼ってますね。でも給水車が来て水を降ろす、その水を置いておく場所がなくて、だから給水車にちょっとお待ちいただかなきゃいけない。
金:きれいな水を置いておこうと思うと、入れ物を洗わなきゃいけないし、でも洗う水の余裕はない。
長谷部:そう。あと食料事情もあんまり良くない。カップラーメンを送っていただいてすごくありがたかったんですけど、お湯もない、水もないで、結局主食はほとんど菓子パンでしたね。
金:じゃあこういう時はカンパンとか、水を使わない食料って有用なんですね。
長谷部:そうですね、それに水分って食中毒につながったりもするでしょ。
金:おにぎりから食中毒になったって言ってましたね。
長谷部:先週末は、2000人くらいの人が泥かきに参加してくれて、それをそれだけの人数があっても5分~10分で、地域の方々におつなぎするってのが役割なんです。今はスムーズに形が出来ているのでボランティアセンターからすぐに現場に行けるんです。バスが10台着いちゃった時とかはちょっと無理ですけど、基本的には朝8時半から送り出しを開始しますから、1時間ぐらいの間に10時ぐらいまでには現場に出られてますね。
2009/08/18 週刊それいけ!長田<ボランティアセンター提供>②
金;ボランティアをする時の心得ってありますか。
長谷部:基本は、マスクとか手袋とかの消耗品と長靴は自分で用意していただきたいですね。
金:やっぱりスニーカーじゃなくて長靴ですか。
長谷部:そうですね。今回の佐用町の水害の場合には、土が保水力が高いので長靴が良いでしょうね。それともう一つは、そろそろ泥かきの作業から畳をはずして捨てたり、床板を洗ったり、床下の泥を取ったりっていう作業にシフトしてきているんですよ。だからけっこう洗い物が多かったりするんです。活動がチェンジしてきているんです。でもマスメディアの映像とかは泥をかき出してる映像が多いと思うんです。だからテレビを見て泥かきをしようと思ってボランティアで現地に来ても、コンディションとかの影響で洗い物をすることになることが結構あるんです。自分は泥かきで現地に来たのに話が違う、っていう苦情もんボランティアセンターに来ますね。
金:うーんボランティで行った方が現地での対応に苦情を言うっていうのは、私には信じられないんですが。
長谷部:でもよくあるんです。それはボランティアセンターも良くない。ボランティアに来ようと思う方は、テレビを見てそこに映っている人を助けたいと思って来る、でも現地に行ったら人よりも泥と向き合うことになる。だから僕がよく言うのは「泥を見ず、人を見ろ」ってことなんです。現場で泥ばかりを見ていても、なかなかその先に人々の生活が見えて来ない。実際、いま3分の1くらいが洗い物で、3分の1くらいが泥かきしてて、残りはまだ手付かずなんですね。奥へ行けば行くほど搬出ルートが確立されてなくてまだ手付かずなんです。泥かきの車がまだ通れるように整備できてない。だから奥をやるためには手前を整備しなきゃならない。だからボランティアセンターもそういうことをちゃんとボランティアさんに理解して納得してもらえる力量がないとダメなんですね。
2009/08/18 週刊それいけ!長田<ボランティアセンター提供>③
金:つまりボランティアセンターも、人間をただ機械のようにあっちへこっちへって動かすんじゃなくて、理解を持ってやってもらうこと、それが大事なんですね。
長谷部:そう、テレビで困ってる人見て、来てみたら畑ばっかりでその泥を出してくださいじゃ、やっぱりがっかりするわけですよ。ところが現地の畑の泥って生活するうえでは困らないかもしれないけど、すごい異臭がする。
金:泥も腐るみたいですね。
長谷部:そうするとね近所の人に迷惑を掛けるってことになる。一時的なことではなく、これからのその地域の人々の生活に影響するわけです。だからそういうのも人を見る力があれば判断できるわけですよね。この畑は先にやったほうが良い、この畑は後でも大丈夫とか。現場のコーディネーターとかはそれを必死にやってるが、しかしボランティアの方にもそれを理解してもらうことも必要ということです。
金:ボランティアセンターが佐用高校にあるってお聞きしたんですが、ボランティアの方はどういう方が多いんですか。
長谷部:ほとんどが全国の社会福祉協議会の方です。基本は住民福祉をやってる方で、人を見るプロのはずなんです。でもボランティアを早く送り出すのを意識しすぎて泥を見ずにボランティアを見るってことになるんですね。
金:瞬時の判断が必要ですね。
長谷部:そう、ボランティアさんは泥ばかり見てしまう、コーディネーターはボランティアとか人ばかりを見てしまう。特にボランティアのためのコーディネーターになってしまって、被災者のためのってところが抜け落ちてしまうんですね。これはよく陥ってしまう失敗です。ボランティアはお客様ではなくて、被災者と共に取り組むパートナーなわけですから。早さだけではなく、ボランティアさんにお待ちいただくことも必要なことです。
金:コーディネーターの方も入れ替わったりするんですよね。
長谷部:基本2泊3日で変わりますね。朝の7時から晩の2時くらいまでありますので交代しないときついですね。
金:暑さとインフルエンザと食中毒ってのもありますからね。じゃあ現場にも行けない、物資も送れないっていう人がほとんどだと思うんですけれども、この神戸の地に居る人はどうすればいいですか。
長谷部:とくにここは長田です。実は杉良太郎さんは杉良太郎の出身地で、神戸の支援のことを忘れず中越地震の時に現場にボランティアとして行かれた。その時に残したメッセージは「お金のある人はお金を、時間のある人は時間を、何もない人は理解する心を届けて欲しい」です。それはやっぱり被災地支援の真髄なんだと思うんです。そのすべてに価値があると思いますね。
金:うん、やっぱり忘れ去らないことっていうのが神戸からの発信としては大事なことでしょうね。これからも大変な状況があると思いますが、わぃわぃもウェブサイトにアップし、そしていろんな方々の声をアップし、連携していきたいと思います。今日はボランティアセンターの長谷部さんに佐用の状況を届けていただきました。