「音源ライブラリ「長田今昔物語」」カテゴリーアーカイブ

「長田今昔ものがたり」第121話

第121話 土木の日の湊川隧道(ずいどう) 2018年11月3日放送

土木という漢字を分解すれば、十一と十八になるので、毎年11月18日近辺の日曜日には、「湊川隧道(ずいどう)」が一般公開され、菊水山をぶち抜いたトンネルの新湊川側には、臨時のつなぎの橋が用意されます。長田神社前商店街の長田橋まで、川底を散歩することができます。土木工事は、蓮池をつくった行基集団の時代から受け継がれ、明治の3大土木工事のひとつ、湊川隧道のすごさが味わえます。湊川の付け替えで、「兵庫」と「神戸」の往来が進みました。「烏原(からすはら)水源地」からの水の恩恵、「兵庫運河」による水運の発展も、その後の西神戸の産業化に貢献しています。土と木との組み合わせに、今もわれわれは感謝するばかりです。


121話 湊川隧道

「長田今昔ものがたり」第120話

第120話 言葉の文化と西須磨下町の方言 2018年10月27日放送

「訛りは国の手形」と言われますが、井上さんによれば、「西須磨では、今は聞きようもない」という状態です。「兵庫・神戸のなんどいや」は、文字では伝わっています。「イノシシが腹を突(つつ)く」……おわかりでしょうか。旧10円札(高額紙幣)がイノシシ模様だったのです。懐に「お金をたっぷり」持つことがすくない庶民は、つい口にだしたかったのでしょう。「ぐつがわるい」「しゃないなあ」「どっとわややなあ」「べっちょない」など、微妙なところを表現していました。どこでも、だれでも、関東弁の「……サー」を孫世代が使うのを聞き、「方言」も「もうあかん」かなという思いがします。


120話 明治33年発行の10円札裏面「うらいのしし」
昭和初期、下町の「おっちゃん」の懐にこのお札が入ると、今日は「イノシシが腹を突く」と自慢した

「長田今昔ものがたり」第119話

第119話 長田の文化性 2018年10月20日放送

長田には、「くつの町」とか、「こなもんの町」というイメージがありますが、実は「文化・芸術」が庶民レベルで根付いている街でもあるのです。音楽だけをとっても、チャンゴ(韓国の太鼓)、スティールパン、三線、和太鼓、トロンボーン、コーラス、吹奏楽など、いろんな音が聞こえてきます。「神戸映画資料館」では保存フィルムが上映されたり、劇場のある「ダンスボックス」には、国内外からダンス留学をしにきたりもします。ふたば学舎の「神戸アーカイブ写真館」は長田周辺の写真がデジタル化され、あなたの小学校の記録など、すぐに冊子で閲覧可能です。11月の「まちの文化祭」も住民が出演します。


119話 長田の文化イベント

「長田今昔ものがたり」第118話

第118話 私が見つけた西須磨の文化財 2018年10月13日放送

須磨の住民、井上さんは、町を歩きながら、狭い地域で語りつくされたかに見える、西須磨の小さな文化財を、ご自身で発掘されています。たとえば「諏訪神社」の彫刻。もう千年以上前の古社、現在は端垣(板垣)に囲まれた小社殿。小宮さんや、玉垣とともに、よく観察ください。須磨寺に行かれると「正覚院」塔頭(たっちゅう)に閼伽棚(あかたな)とよばれる棚を探してください。元興寺(がんごうじ)にある「閼伽棚」(国宝)と同じものなのです。須磨にいて奈良をしのぶことができます。須磨海岸には多くの別荘がありました。坂上邸の石塀が唯一残っています。イタリアレストランのあるあたりです。話題の多い「西須磨」です。ゆっくり散策して、みつけて下さい。


118話 西須磨、諏訪神社の彫刻


大本山須磨寺の閼伽棚


旧須磨浦別荘屋敷で唯一現存している坂上邸

「長田今昔ものがたり」第117話

第117話 兵庫運河と吉田新田の開発者たち 2018年10月6日放送

今、ワダカンは、「長田の町歩き」の本を書いています。「水と産業革命」という視点で、和田岬を出発し兵庫運河沿いに地下鉄苅藻駅まで、明治になってからの産業、とくに工業地としての進化を見るコースを紹介しています。吉田新田(吉田町)は1839年に開墾が終わり、1894年にカネボウが広い平地に着目、「地下水」がふんだんに出るものですから紡績工場を建設します。1899年には「兵庫運河」が完成、先に開通していた和田岬線の物流、交通への寄与があり、一大工業地帯として発展しました。兵庫運河の八尾善四郎さん、吉田新田の末正久左衛門さん、お名前を記憶しておきたいものです。


117話 兵庫運河(高松橋から)

「長田今昔ものがたり」第116話

第116話 鉄くずにみるカメラ・フィルムの変化 2018年9月29日放送

ワダカンのサラリーマン時代は、ほとんどカメラ関係の会社で過ごしました。今や写真もスマホで記録する時代。すっかりデジタル写真の時代です。アナログカメラというか、フイルムカメラの時代には日本メーカーが元気で、欧米・アジアのメーカーと国際的に協調していたのがカメラ産業です。ワダカンはコダック、ニコン、キャノン、冨士フイルムとミノルタの5社で、フイルムカメラをデジタル感覚で楽しめるAPSという新写真規格作成の事務局長をしました。1996年に発表、2006年までの寿命でした。近所に「鉄くず屋さん」があります。アナログフイルムのパトローネ(フィルムカートリッジ、カセット)は「鉄くず」となっていました。


116話 写真新規格(APS)製品