2025年10月4日「震災30年FMYYから見た災害と復興」〜災害での一番重要な視点、それは人権 〜弁護士:津久井進 その1


震災30年FMYYから見た災害と復興
「つぎはぎ防災」
多重被災地で弁護士が見た一番の問題、「心が折れること」

「2025年10月4日『震災30年FMYYから見た災害と復興』
〜災害での一番重要な視点、それは人権 〜弁護士:津久井進 その1
弁護士の津久井進氏が、阪神・淡路大震災の復興に携わってから30年目となる経験に基づき、
近年の多発する自然災害における最も重要な視点、それはすなわち「人権」
なんだと強く発言されました。
被災地に関わる人々は、被災者の「心が折れる」というその瞬間に立ち会うことが間々あり
そのことに気づく!力が重要です。

すべての人々は自分が人間らしく生きていく、生活できる環境にあるか?
それが自分に保証されていると感じることが大切です。
そうでなければ生きていく力、未来に対しての希望を失ってしまう、
つまり「心が折れてしまう」のです。

多重被災による心の疲弊
能登半島では、2004年、2007年、2023年、2024年の地震に加え、
大雨被害や行政の混乱も重なり、被災者が繰り返し困難に直面しました。
立ちあがろうと、やっと未来が見えてきた、という時に再びの被災は「心が折れる」ほどの苦しみであり
現在は他の要因も重なりこの「心が折れる」という状態に陥っておられる方が多数です。

特に能登の被災地においての現状がこの「心が折れる」方々を生み出している、
それは、既存の災害法制や支援制度が複数回の災害に対応しきれていないため、
被災者が制度の隙間に陥ってしまうことが原因とされています。

災害における最も重要な視点:人権
津久井弁護士は、災害において最も大事なものは「人権」であると強調しています。

一般的には防災や制度設計、システム作りが優先されがちですが 、人権こそが「目的」であり、
法律、制度、道路、建物といった「ハード」は全て、その人権を守るための「手段」であるべきだと主張しています。

複合災害の例としては古くは30年前の阪神・淡路大震災における地震と金融ショック、二重ローンや、
東日本大震災における地震、津波、原発事故などが挙げられます。
さらには熊本地震での2度にわたる地震が傘あんって起きたことや能登半島での地震の後の大洪水など
度重なる災害を例に挙げ、複合的な問題が被災者に突きつけられる現状について解説しています。

災害現場では往々にして目的と手段の位置関係がテレコになることが起こります。
阪神・淡路の時はなかった制度が、現在は出来上がっていることからよりその傾向が大きいいと言えます。
人権擁護が一番の目的であるということを心せねばなりません。
この最重要の人権という視点よりも、すでにある制度に被災状況を合わせていく、、、ということが、
実は一番の問題であります。

例えば、仮設住宅を「制度上1年で出ることになっているから」という理由で、
行き場のない被災者に退去を迫るような事態は、「おかしい」と感じる心が必要であり、それを対して声を上げることが重要です。

未来への教訓、まだ被災していない地域のみなさんへの伝承として
過去の災害で味わった苦難を失敗としてきちんと認識し、再び他の地域で同じ失敗を繰り返さないこと!
そのためには、成功体験だけではなく、このような失敗体験、人の痛みに気づけなかったその体験談をこそ
届けていく必要があります。

なお、この講演の「解決の道」については、次回のパート2で詳しく解説していただきますので
ぜひ続けてご覧ください。

動画のURL: http://www.youtube.com/watch?v=jIQdmk-vw9E チャンネル名: FMわぃわぃ