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イラストレーター・絵本作家 涌嶋克己さんをお迎えして

 4月21日の「ふれてあれこれ好奇心アイtoアイズ」では兵庫県神戸市を中心に活躍されている、イラストレーター・絵本作家の「WAKKUN(わっくん)」こと涌嶋克己さんをゲストとしてお迎えしました。

●画家を目指したきっかけ
 涌嶋克己さんは子どもの頃からたくさんの絵本や漫画を読み、絵を描くことに興味を持ち続けてきました。大学では漫画研究会に入り、漫画やイラストを描いていたそうです。
 画家になることを強く意識したのは、ある日の演習授業でした。学生運動全盛期で、視覚障がい者向けの入試の継続を主張する学生たちが授業に乱入し、ディスカッションをすることに。その時、涌嶋さんは初めて視覚障がい者が努力して自分と同じ大学、そして同じ学部に入学し、勉強していることを知ったそうです。「僕はなんでもやろうと思ったらできるのに、実際に行動することを恐れていた」と湧嶋さん。
  「俺も精一杯生きている」と一生懸命努力している人達に言えるようになりたい。そのために大学を中退し、絵の道に進むことを決めました。基本的に独学で絵を学び続けたそうです。
 「表現するには、自分のことを理解していなければならない」。30歳の時に世界で通ずる表現者達と会いながら、涌嶋さんは思いました。「軸足がぶれていては何もできない」。そこから自分と向き合い、33歳で今のスタイルを掴みました。

●絵を描く楽しさ
 予想外の悲しみや喜びといった諸々の感情や自然など、言葉にできないものを表現できることが楽しい、と涌嶋さんは言います。阪神タイガースが勝った時など、そうやって感情が爆発する時に絵を描くようにしている。その時の感情を思い出しながら描くことで良いものができるそうです。

●ガッツくん
 ハートを高く掲げ、走るキャラクター「ガッツくん」の姿は、は16年前の阪神・淡路大震災復興のシンボルとしてご存知の方も多いと思います。
 ガッツくんが生まれたきっかけについてお聞きしました。長田に住んでいる涌嶋さんは震災の後、長田高校に避難。1週間経ってやっと絵が描ける状況になり、ふと「何かしたい!」と思ったそうです。そして「元気な絵を描いてほしい」、という依頼が来て、ガッツくんが誕生しました。
 ハートを高く掲げる絵。あれには「心だけは潰れないぞ!」というメッセージが込められているそうです。

●絵を描くときに意識していること
 「心の奥から出てくる素直な気持ちで描き、そしてうまく描こうとは思わないことが大事」だと湧嶋さんは言います。ワクワクやドキドキを「素直に」出していきたいそう。
 涌嶋さんが参考にしているものの中に、小学校の時の卒業文集での友人の一文があります。自分を含め「○○先生、ありがとうございました!」などありきたりな文章を書いている中で、友人は「大嫌いな給食よ、さようなら!」と書いていました。自分が卒業し、給食が無くなって昼食が弁当になるという希望を、素直に書けていることに圧倒され、この文章のように自分も絵を描きたいと思っているそうです。

●今後の夢、希望
 最後に今後の夢、希望として、「たくさん絵を描くこと。そして震災の被害が残る中、支えあいながら自分の命を全うしていくこと」とおっしゃっていました。

 放送最後の、「支えあいながら自分の命を全うしていきたい」というセリフが心に響きました。被災者のことを思い、支援することも大事ですが、自分自身一生懸命生きることも大切にしていかなければならないですよね。まさに支えあいが大事なのだと再確認させられました。

FMわぃわぃボランティアスタッフ 村上

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