トップページ > 2011年6月2日

鍼師・マッサージ師 吉田淳治さんをお迎えして

6月2日の「ふれてあれこれ好奇心アイtoアイズ」では視覚障がい者で鍼師・マッサージ師の吉田淳治さんをゲストとしてお迎えしました。

●仲間とともに東日本大震災の被災地へ
吉田さんは今回、同じ視覚障がい者で同業者の仲間4人と東北の被災地へ行き、マッサージをしてきました。きっかけは新聞やテレビで「できることからしよう」と呼びかけているのを聞いたこと。「自分にできることは、マッサージ」と仲間に加えて健常者の方に同行してもらって被災地に向かいました。
食事の準備や宿は自身で確保しなければなりません。岩手県に住む友人から宮古市の知り合いを紹介してもらい、彼のコーディネートで宮古市へ行く準備を進めたそうです。食料は事前に宅急便で送るなど、工夫もしました。飛行機で秋田空港まで行き、レンタカーで東北入り。被災地に向かう時、「何をどれだけもって行けばいいかで悩んだ」と吉田さん。余分に持っていけば寄付できるからなんでも多めに持って行ったそうです。
吉田さんらは4ヶ所の避難所を回りました。「2日間で80人ほどを治療したが、避難されている方々の疲労を感じた。今までの避難所生活の中で、動かなくて血圧が上がっている人もいた」とおっしゃっていました。避難されている方々の疲労を、痛いほど感じたそうです。

●「この仕事で良かった」と改めて感じた今回のボランティア
「最初は話のネタとして『旦那さんは?子どもさんは?』と家族のことを聞いてしまったのが失敗だった」と話す吉田さん。家族の話題になると辛い声になり、静かに泣く被災者の方々を思い、吉田さんは自身の阪神・淡路大震災での経験を話すようにしたそうです。そうして話を引き出し、その話を聞くことと、マッサージで少しずつリラックスしていくように感じられたのは非常に良かった。
「治療した後、手を握り、肩を抱き、涙を流しながら『ありがとう』と言われ、こっちも自然と涙が出てきた。今までたくさんボランティア活動に参加してきたが、今回被災地に行ったことで特に『この仕事で良かった』、『障がい者で良かった』と感じた」とおっしゃっていました。「視覚障がい者だから」マッサージ師という職を選んだ吉田さんは特に「障がい者で良かった」と思えたことが嬉しかったそうです。

●これからのボランティア
今回被災地に行って「時期によって必要とされる物資が違う」、「被災地が広すぎて、ボランティアの人員がうまく分散されてない」と感じたそうです。
「見えないのになんで行くねん、迷惑なだけや」、「ボランティアに行くお金があるなら、募金しろ」と言われることもあったそうですが、「できる限り今のうちにやる。『後でしよう』ではキリがない。元気なうちに、行動しなければならない」と吉田さんは被災地へ向かいました。
最後に、「避難所へ行くのも一つの方法だが、老人ホームや病院、自宅に戻っている方々にもケアしていきたい」とこれからの思いを語っていました。

FMわぃわぃ インターン生 村上