コミュニティ通訳・翻訳のレベルチェック事業

今年7月に公益財団法人大阪府国際交流財団(OFIX)から委託を受けて取り組んできた事業が佳境に入ってきました。
「コミュニティ通訳・翻訳ボランティアにおける語学スキルレベルチェック事業」という、ちょっと長い名前です。

各地の国際交流協会などには、日本で暮らす外国人のために、行政サービスや生活に関わる様々な情報をボランティアで通訳・翻訳をする方々が多数登録し、活動しています。
ボランティアですから、その語学力や心構えのありようなどには大変幅があります。そのような通訳・翻訳スキルの程度についてはこれまで登録者の自己申告に頼ったり、面談などで見当をつけるしかなく、「この通訳にはどの登録者を派遣するか」というときには、コーディネートする担当者の個人的な経験や勘によるところが大きかったのです。

登録者の語学のレベルや得意な分野が一目で分かるような何かがあれば、素早く適材適所な配置ができるようになるはずです。
そのために、みんなで使えるコミュニティ通訳・翻訳の分野に特化した明確で客観的な指標を作る、という事業なのです。  

具体的には語学力テストの問題と採点基準の作成、テストの実施、マニュアルの作成、テスト実施者向けの研修などで、現在は来年1月に実施予定の第1回テストに向けて内容を煮詰めているところです。
住民登録や母子保健、年金、健康保険、学校などさまざまな分野の問題づくりや音声の録音、会場の手配など、あれもこれもと本当に忙しい日々です。

2月にはテストの採点もろもろが済み、事業は完了する予定です。今回つくられたモデルは大阪府下の各自治体や国際交流協会で実施され、通訳・翻訳者育成と効率的なコーディネートのために運用されていくでしょう。ボランティアをしよう、という方々にとってはスキルアップのためのはげみともなると思います。
ボランティアのスキルを測る一定の客観的な指標の必要性が、社会的に認識されるという点でも画期的なことです。

このようなボランティアのスキルチェックは今までになかったことで、一からの立ち上げで大変でしたが、これに関われていることはコミュニティ翻訳通訳を中心にして活動してきた団体として光栄なことだと思っています。

(ボランティアH)