報告|2024年度 兵庫県に暮らすウクライナ避難民の支援事業

はじめに

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、多くの方が祖国を離れて兵庫県へと避難されています。県内で避難生活を送るウクライナの人々が安心して暮らし、自立へと歩み出せるよう、2024年度も多言語センターFACILは「日常生活支援コーディネート業務等」を通して、相談対応、通訳、文化交流、セミナーなど多角的な支援を実施しました。

事業概要

事業名:ウクライナ避難民への日常生活支援コーディネート業務等(兵庫県国際交流協会からの委託事業)

目的:生活支援と自立促進支援の継続的提供、定住を視野に入れたサポートの強化

期間:2024年4月~2025年3月

対象:兵庫県内のウクライナ避難民

実施内容と成果

日常生活支援

相談対応での支援:53件

通訳派遣での支援(病院・手続きなど):59件

自立促進支援

避難民ヒアリング調査(神戸市除く):11名

ライフプランセミナー(全4回):就労支援セミナー、情報交換会、日本の家庭料理講習など

日本人対象の文化紹介イベント:ウクライナ料理教室

バスツアー(2回):姫路セントラルパーク・北条鉄道、六甲高山植物園・ROKKO森の音ミュージアム ほか

その他、イベント:ウクライナ人作家追悼イベント(神戸)、バレエ鑑賞(淡路市)

六甲山でツアーを楽しむウクライナの方々
ウクライナ料理教室の様子

避難民の方の声(イベントのアンケートより)

日本の家庭料理講習「とてもおいしいおにぎりを家でも再現できてうれしい」

 (バスツアー)
「ツアーでは日本の自然や歴史に触れられ、癒された」
「戦争の恐怖を一瞬忘れることができた」

 (その他)
「すべての活動に感謝。もっと多くの日本文化に触れたい」

アンケートでは「とても良かった」「また参加したい」といった声が多く寄せられ、ライフプランセミナーやツアーを通じて、多くの方にご満足いただけたことがうかがえました。

また、私たちスタッフにとっても、事業を通じて避難民の皆さんが前向きに生活される姿に励まされる場面が多くありました。母国への想いを抱えながらも、日本での暮らしの中で交流の機会が支えとなっていることを実感することができました。

2025年度に向けて

2025年度も本支援事業を継続予定です。日本財団による避難民支援金が今後順次終了していく中で、ウクライナ避難民の方々には経済的な自立がますます求められています。私たちは、こうした状況に対応し、避難民の方々の実際のニーズに合った支援を今後も続けていきたいと考えています。

日本、兵庫県で安定した生活を送るために必要な情報の提供

個別化された支援計画の実施

相談の受付や通訳を通じた引き続きの支援

最後に

長期化する避難生活のなかで、ひとり一人が抱える悩みや課題はさまざまです。

多言語センターFACILでは、言語や文化、制度の壁を越え、共に暮らしを支え合うための取り組みを日々続けています。

今後も、市民の皆さまや行政との連携を深めながら、支援の輪を広げていければと願っています。

引き続き、温かいご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。