『この危機を乗り越えるために、だれも取り残されないために。』:多言語センターFACIL代表 吉富志津代

東日本大震災の発生直後より、多言語センターFACILは、FMわぃわぃと連携をして「ラジオ」と「多言語」を柱とした活動を続けています。

私たちは、阪神・淡路大震災の支援活動をきっかけに、住民自治の大切さと、その住民が多様なことに気づき、性別、年齢、障がいの有無、国籍、民族、出身地などにかかわらず、どんな住民も排除されることのない『多文化共生のまちづくり』に取り組んでいます。

そこで、今回もラジオのもつ力と多文化の豊かさを切り口に、私たちができることとして、オックスファムジャパン、BHNテレコム支援協議会とともに、

  • (1)大切な情報の多言語への翻訳とその情報の音声化をした音源を、ラジオ受信機(2万台)とともに被災地の災害FM局などに直接届け、ラジオ局維持のために必要な機材やパソコン等の提供もする
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  • (2)東北にたくさん住んでいる外国からきたお嫁さんなどの外国出身の住民が孤立しないよう、自分のことばで相談や発信ができるような外国人コミュニティとのネットワークづくり、
  • など長期的なサポートを考えています。

     

    女川第一小学校に避難しているペルーから嫁いできた女性を訪ねたとき、そのお連れ合いの漁師の日本人と4月から高校生になる息子さんにいろいろとお話しをうかがいました。

    そのときに、息子さんが

    「おらんちの家も船も流されちまって、おっとうも漁師つづけられねえし、島のみんなももう島には戻れねえって言ってっけど、おらはやっぱり漁師になりてえんだ。」

    と力強く語った顔が忘れられません。

    大変な災害にあっても、自分のお父さんの仕事に誇りを持ち夢を失わない彼の姿に学ぶことは多く、今後は、外国にルーツをもつ子どもたち同士がつながり、お互いに学べるような関係が築けたらいいと考えています。

    大変な被害を出した地震、津波、原発という三つどもえの今回の災害は、まちの復興までの道のりはかなり長いけれど、日本中がこの危機に力をあわせて立ち向かえるよう、ひとり一人ができることを考えて、誰も置き去りにされないような再建につなげたいと、私たちも微力ながら長く関わっていきたいと思います。

    多言語センターFACIL 代表 吉富志津代